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密室殺人ゲーム2.0

密室殺人ゲーム2.0

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あらすじ

推理ゲームのために実際に人を殺す「リアル探偵ごっこ」を楽しむ5人の狂気を描く。

Q1 次は誰が殺しますか?

東京都三鷹市で二十歳の女子大生 永田伶奈が首を絞められ殺された。

部屋にあった現金だけが奪われ、カードや通帳、貴金属などは手付かずだった。また性的な暴行も無かった。

事件当夜に無灯火自転車に乗って警官に声をかけられていた 坂本純人が容疑者として聴取を受ける。

犯行を認めた坂本は当初「金が欲しかった」といってていたが、取り調べが進むと「これはゲームだった」と供述を翻す。

メモ用紙に「92、912、928、1013、1024、1104」という数列を書き残した後、一切の供述を拒否した。

オンラインで「リアル探偵ごっこ」をする5人の同好の士「aX e、ザンギャ君、頭狂人、伴道全教授、044APD」の5人は、坂本を動かした「ゲーム」の正体を探っていく。

  • Q2 密室などない

伴道全教授からの出題。これは実際の犯行ではない。

金子有蔵が自宅内で撲殺されているのが向かいの住人に発見された。
高いブロック塀があり、門もドアも全ての窓も施錠は万全だった。銃や毒などで遠距離から殺したのではなく、直接物理的に殴られて殺されている。

出題者の伴道全教授は「極めて現実的実用的なトリック」だという。

  • Q3 切り裂きジャックの三十分の孤独

ザンギャ君から、実際に行った密室殺人トリックの出題。

権藤光慈が、保有している貸しビル地下の空き室で殺された。
「ビルの地下に不審者がいる」と伝える電話を受けた権藤はビルに向かい、その後、娘の幸に「車が故障したから迎えに来てくれ」と電話した。

幸が部屋に行くと何かが邪魔をしてドアが開かない。無理やり押し込んで開けると、そこに切断された足を見つける。目の前には体中が切断され、内臓まで引き出された父が横たわっていた。

その地下室には、出入り口は一つしかない。
唯一のドアが内側から切断された足でふさがれた「密室」から、犯人のザンギャ君はどうやって外に出たのか。

  • Q4 相当な悪魔

頭狂人の予告殺人。アリバイトリックの出題。

その日の13時半ごろ、頭狂人は神奈川県の町田市にいた。また18時半過ぎに、横浜の綱島からも現場中継をしてきた。21時には「大阪にいる」といい、その場で殺害した女子大生の藤谷流花の死体を見せる。

飛行機や新幹線をつかっても、18時半に綱島にいた頭狂人が21時に大阪で殺人を行うのはどう計算しても不可能だった。

被害者の藤谷が大阪にいたことは確実だった。
当日に大阪の書店で買った本のレシートを所持していたし、20時ごろにには大学の仲間とのビデオ通話で道頓堀にいるところを目撃されていた。

藤谷の大学の仲間たちは、メンバーの一人 隈元が所持する千葉の別荘に遊びに来ていた。藤谷も誘われたのだが「親戚が入院した」といってドタキャンしていたが、大阪の繁華街にいたので入院の話は嘘なのだと思われていた。

藤谷の恋人である片桐も参加していたが、彼女が嘘をついて大阪に向かったことに心を痛めていた。翌朝に片桐が藤谷の部屋に行くと、冷蔵庫に彼女の切断された頭部がしまわれていた。

  • Q5 三つの閂

aX e から「雪の密室」の出題。

ゴミ捨て場に置かれた箱の中で、中学二年生の日比野華恋の死体が発見された。
箱は透明なポリカーボネート製で内側から頑丈なカンヌキが掛けられていた。また前日雪が降ったにもかかわらず、被害者も犯人も足跡を残していなかった。

雪の降り始めた時間までは友人とカラオケにいたことが確認されており、雪が積もる前に現場に運び込まれたものではない。

雪の足跡と内側から掛けられたカンヌキの二重の密室はどのように作られたのか。

  • Q6 密室よ、さらば

ここまでの問題を華麗にといてきた 044APD からの出題。

044APDは 間宮駿を殺すと予告した。
犯行現場として指定された仙台のマンションの部屋は栃羽茂と中里雪という二人が住んでいて、聞き込みを行っても周辺住人は間宮駿を知らなかった。

しかしその部屋で、間宮と中里の二人が遺体で発見される。

犯行のあった日、栃羽は東京に出張していて不在だったことが確認されている。だが間宮がいつ部屋に入ったのか、犯行後に犯人がどうやって出ていったのかもわからない。

現場となったマンションでは管理人が常駐し人の出入りを確認しているが、その日出入りしたのは宅配業者くらいで、その宅配業者の犯行でないことは確認されていた。

044APD の密室への執念が見える。

  • Q? そして扉が開かれた

この「5月」は 2006年 or 2007年?

感想

後味は悪いのだが、がっつりと驚かされる作品。

特に『相当な悪魔』と『密室よ、さらば』の仕掛けが面白い。トリック自体より「誰」の部分での意外性が図抜けていた。

ただ登場人物が多くて読むのに疲れた。
素直に読めばシンプルだけど、オンラインでの会合だったり、ニックネームだったり「叙述トリック臭」がプンプンして、深読みしすぎてしまった。
ミステリを色々読んでるとそうなるね。。

『密室殺人ゲーム王手飛車取り』の続編だったのだが、Amazonさんが「こっちが(全3巻)の1冊目」というのに騙されてしまい、前作からの繋がりを理解できなかったのが残念。。ああ、1巻目から読みたかった。

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