ヒポクラテスの誓い 法医学ミステリー「ヒポクラテス」
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あらすじ
法医学ミステリ「ヒポクラテス」シリーズの第2弾。
著名な解剖医 光崎教授の法医学教室で助教授となった真琴が、先輩の准教授キャシー、捜査一課の刑事 古手川たちと、死体に残された謎を解いていく。
本作では「コレクター=修正者」が県警のWEBに書き込む「疑わしい遺体」の情報に、警察も解剖医たちも振り回されれいた。
- 堕ちる
17歳のアイドル佐倉亜由美がライブのステージから転落死死亡した。
衆人環視の中での転落だったため事件性のない事故として処理された。
だが真琴たちは遺体の「腕」に引っかかっる。事故であれば反射的に頭をかばおうとして腕に傷ができるのが一般的だが、佐倉の腕には傷がなかった。
真琴たちは佐倉の遺体に「事情聴取」をする。
その頃、埼玉県警のウェブサイトで「コレクター=修正者」と名乗る者が当初を繰り返していた。
コレクターは「異状死でも大部分が解剖されないことが好都合だ」といい「○○の遺体を調べてみろ」と挑発してきた。
コレクターの指摘に従って再調査した遺体からは、実際新たな発見もあて、警察も監察医も翻弄されていた。
- 熱中せる
3歳の女の子 瓜生美礼が自宅ベランダで、熱中症に死亡する事件が起きた。
刑事の古手川は美礼の両親の証言に嘘があることを見抜く。
美礼の義理の義父である悟志は、パチンコ屋駐車場の車に美礼を放置したことを認めたが、解剖された美礼の遺体は饒舌に真相を語った。
- 焼ける
新興宗教「福音の世紀」の教祖で黒野イエスが、教会で焼死した。
教団に騙され現金を奪われた女性の息子、教団ナンバー2である女性、ナンバー2醸成の元恋人、たちが容疑者として疑われいた。
真琴たちは遺体を解剖しようとしたが、信者たちは黒野の復活を信じ、解剖を許さ仲tt。
- 停まる
70歳になる枚方重巳が路上で倒れ、心不全で亡くなった。
数年前から痴ほう症を患っていた枚方は、ギスギスした夫婦関係に浸かれ、少しでも家から離れたくて外出をしていたものを思われた。
単なる心不全に見える状況だったが、亡くなる直前に生命保険の掛け金を急に増やしていたこともあり、古手川たちは独自に捜査を進めた。
「老人が倒れるところを見た」という少年の証言から、捜査が一歩進み始めた。
- 吊るす
銀行職員の若宮鈴音が首を吊った状態で発見された。
鈴音は銀行口座を操作し、少しずつ抜き取ることで気付かれずに大口顧客のお金を横領していたのだという。
証拠も揃い、鈴音の犯行であると判断され、今回の死はとそれを苦にした自殺であると考えられた。
だが、鈴音の妹である 茜 は、姉の死因にな徳がいかなかった。
警察に協力し姉 美鈴の携帯を証拠として警察に提供した。
美鈴は、携帯から消去されていた 赤塚武司 と、死の直前まで頻繁に連絡を取っていたことが判明する。
赤塚に事情聴取をしても全く尻尾を出さなかったが、時枝夏帆という女性も美鈴と同じような状況で自殺していたことが判明する。夏帆の弟から借りた彼女の携帯からも赤塚の名前が出てきたことで、疑いがさらに強まった。
既に遺体は火葬されてしまい、解剖記録に残された情報だけで解決しなければならない。
- 暴く
古手川と同期の婦人警官 姫川雪絵 が寮の屋上から飛び降りて死亡した。
雪絵がフェンスを乗り越え飛び降りるところは多くの警察関係者に目撃されており、遺書も残っていたことから自殺であることは間違いないと思われた。
だが、雪絵は数日前に赤ちゃんを堕ろしていた頃が判明し、警察内部での不倫があったことが判明する。
真琴たちは遺体を解剖し、真実を解明していく。
感想
異状死であっても、予算の問題で大多数は解剖されることなく処理されているのだという。
実際に殺人を犯すのであれば、複雑な策を弄するより「殺人があったことすら気付かれない」のがベストだし、それが難しくても「一見して事故死に見える」ようにすれば、捜査される可能性は低い。
また司法解剖制度のある東京都下よりは、埼玉など予算が苦しい都道府県の方が、さらに操作される可能性が低いのだという。
例えば日本の失踪者は、届けられているだけで年間8~9万人程度。
3分の2は発見されないので、どこかで死んでいる可能性が高いだろう。
また、殺人など重犯罪の検挙率は8割を超えているが、逆に見ると「確実に殺人である件以外は事故死・自殺と判定している」とも言えるだろう。
「見つからない殺人」「事故死に見える殺人」を、警察の手薄な場所で行うのが、最も安全だということだ。
大変参考になった。