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会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン

会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン 【会社では教えてもらえないシリーズ】

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要約

仕事を速くするためには「スケジューリング」をマスターする必要がある。
紙の手帳を使ったスケジューリングのセオリーを紹介する。

  • 残業せず成果を出す人は「手帳」が違う
    予定は自ら作るもの。追われるときつくなる。予定の立て方が大切
  • 手帳に書くと忘れられる。目の前の仕事に集中できる
    「何をいつまでにすべきか」を書いて外出してしまうことで、脳は目の前の仕事に集中できる。他のことが気になっているとベストパフォーマンスは出せない。
  • 仕事に追われるのは「余裕時間」がみえないから
    数週間は忙しくても、1カ月先だと開いている時間もある。自分から予定を埋めていくことで、先の方に「必要な予定をロック」しておくことができる。
  • デジタルの時代に「あえて紙」が有利
    共有の必要があるならデジタル。それ以外はアナログの方が便利。紙の方が書く速度が速いし、自由度も高い。
  • 仕事が遅い人ほど「カレンダーで十分」という
    マンスリー型では予定が詰まって見えてしまう。一日数件の予定を入れるならウィークリー型を使うべき。
  • 手帳のサイズは大きい方がいい
    全てのメモを一冊に集約するためにも、余白を残すことで書き込みの自由度を上げるためにも、手帳のサイズは大きい方がいい。A4サイズがベスト。
  • 「週間バーチカル型」が鉄則
    時間の配分を視覚的に把握するには、一週間のバーチカル型が最適。
  • 退社時間を一番に決める
    スケジュールで最初に決めるべきなのは「退社時間」。締め切りを設けることで一つ一つの作業時間に対する見極めが行われる。退社時間を決めてしまうと「思った以上に終えられる」もの。
  • 一つ一つの仕事に所要時間を割り振る
    To Doリストでやるべきことをリストアップするだけでなく、それぞれの所要時間を見積りスケジュールに落とし込むことが必要。
    繰り返すことで、各種業務の作業時間の相場感ができてくる。
  • アポイントも最短距離で組む
    外出時の移動距離が最短になるよう訪問先を設定したり、一度に複数のタスクが片付けられるよう調整することで、時間は節約できる。小さな積み重ねが時間を生む。
  • 会議の予定には「目的」も書く
    「○○の会議」と書くだけでなく、そこで得たい成果も書いておく。何ごとも自分なりの目的を持って参加することで、有意義になる。
  • 無理やりでも3週間先を埋める
    先の展開を予想して強制的に予定を入れる。先読み力が高まり「気配りのできる人」になる。
  • 納期までに3回アラートを設定
    複数のタスクを並行させると忘れることが発生する。締め切りまでに3回はアラートを設定するといい。
  • 忘れそうな報告事を書く
    自分では些細なことだと思っていても報告遅れは信頼を失う。即メモしてすぐに報告するようにする。
  • 「締切りから逆算」を徹底
    することを積み重ねて成果につなげるのではなく、なすべき成果から逆算してするべきことをスケジューリングしていく。
  • 1週間は4日、1カ月は3週間
    アクシデントを織り込んで余裕を持ったスケジューリングにしておくべき。
  • 週の目標達成は月曜朝に決まる
    達成までのスケジュール配分を週初めに決め、日々進捗を書いておく。スケジューリングと実績のズレを検証することで時間管理の精度が上がる。
  • 同時進行にも手帳がキモ
    複数のタスクをこなす場合、手帳でのスケジューリングが必須。この場合、マンスリー型を併用して進行を俯瞰するのも有効。
  • 70点でも早く出す
    「完璧なるまで出さない」のは独りよがり。大枠を見せて反応を見ながら調整していくべき。
  • やらないことを決める
    最大のタイムマネジメントは「やらないことを決める」こと。
    「時短を進める中で、やめてはいけないことを止めてしまっている可能性もある。でも、そんなことを気にしていたら、何事も進まない。間違えていると思ったら、その時修正すればいいだけけ
  • フリクションペン
    紙の手帳はフリクションペン(消せるボールペン)と相性がいい。仮でも先の予定をどんどん入れていく。
  • タスクは30分単位で設定
    手帳に記入するよていは1時間単位ではなく30分単位で。「何時間」から「何分」に体感速度を変えると、時間を有効に使う意識が高まる。
  • スキマ時間はあと3時間増やせる
    スキマ時間を活かすだけではなく、意図的に増やしていく。
    タスクを予定より早く済ませ時間を余らせる、予定より早く到着して作業をする、など。「スキマ時間ができたらやることリスト」は作る必要はない。
  • 他の人の動きも手帳に書く
    自分だけでなく、チームやビジネスパートナーの予定も手帳に書いておく。相手の動きを認識しておけば「タイミングのいい人」になれる。
  • 忙しい時ほどリフレッシュタイム
    自分のことは自分にしか守れない。限界になる前に無理やりにでもリフレッシュ時間を予定に組み込む。
  • 今日を「ワクワクする日」に変える
    気の重いプレゼンのある日は「大変な日」になってしまう。でもその日の帰りに映画を観る予定を入れれば「楽しいことがある日」に上書きされる。
    一日一つ、ワクワクする予定を入れてみる。
  • プライベートの予定は最優先
    仕事が一段落したらプライベートの予定を入れるのではなく、優先的に入れる。仕事は変えられても家族は変えられない。人生で何が大切なのかを冷静にとらえておくべき。
  • その飲み会は「消費」か「投資」か?
    全てのことを「消費」なのか「投資」なのか意識することが大切。「消費」が悪いというわけではないが「消費」であることを意識することで自制ができる。
  • 1週間に数時間は自己投資にあてる
    自分の未来に投資している感覚があるとモチベーションが上がり、不安感が安らぐ。
  • 手帳に挟んでおくべきツール
    忙しい相手にはメールよりも手紙が有効なこともある。切手を挟んでおくといい。
  • あらゆるメモを一冊に集約
    複数の手帳を使い分けるより、どんなメモも一冊に集約してしまった方が便利。書かないとすぐに忘れてしまう。
  • 何気ない一言をメモ
    相手の誕生日など「ささいなこと」を覚えていると印象がいい。
  • 打合せメモは写真でデジタル管理
    話をしているときは相手の目を見るべき。キーボードの入力より手書きの方が適している。相手と共有するのにデジタルで清書するのは手間なので、写真にとってメールするだけでもいい。
  • 移動時間は考えの整理に最適
    移動時間は邪魔が入りにくく、アイデアを出したり思考を整理するのに適している。
  • フリースペースで一人ブレスト
    手帳の余白にアイデアを書いていく。いろいろなアイデアをかけ合わせていくことで斬新な発想が生まれる。
  • 企画書はまず手書きメモでまとめる
    企画書などもいきなりPower Point などで書き始めるのではなく、まず手書きで構成をまとめることから始める。
  • 悩みは書いて吐き出す
    嫌なこと、悩みごとを書き出すとストレスを客観視できるようになり「ほとんどのことは大したことない」と思えるしなやかさが育つ。
  • 夢は手帳に書くと叶う
    「やりたいこと、なりたいもの」を書き出し眺めるだけで実現の可能性は飛躍的にアップする。

感想

役に立つと思うのは
・目的から逆算して「やるべきこと」をスケジューリングすること。
・締切り設定することで週力を高めること。
・プライベートの予定は最優先。
・スキマ時間を意識して作る。
・「投資」と「消費」を意識。
というあたりだ。


一方で「紙の手帳」へのこだわりは、現状ではちょっと無理があると感じた。

最近のビジネスでは「チームでのスケジュール共有」が大前提になっている。
とくに昨今、リモート勤務も増え、顔が見えない相手のスケジュール把握にグループウェアを使うことが必須になっている。

ビジネスの予定をデジタル管理すると、プライベートのスケジューリングもデータ連携が必要で、神の手帳との二重管理は現実的ではない。

また本書で挙げられている「紙の手帳」の使い方TIPSもデジタルなら圧倒的に簡単にすんでしまう。ウィークリー型とマンスリー型の使い分けは、デジタルであればいつでも自由に切り替えられる。「消せるボールペンを使う」とかもデジタルデバイスの便利さとは比べ物にならない。

複数デバイスで共用できるから、じっくり作業したいパソコン画面でも、常に持ち歩いてるスマホでも使えるのは便利だ。
「いつでもどこでも、ささいなことでもメモしよう」ということであれば、いつも手元にあるスマホの方が適している。

それでも紙の方が勝っていると思うのは「書くスピード」、「記憶の定着」あたりだろうか。

実際に技術的には、デジタルデバイスも手書きと変わらないレベルになってきてはいる。あとは「社会が受け入れるかどうか」なのだと思う。

たとえば文字入力であれば、手書きよりキーボード入力の方が速い人も多い。最近ではタブレットにペン入力というのも普及し始めている。
それでもビジネスの場で使いにくいのは「相手が話しているときに手書きメモをとるのは問題ないけれど、キーボードに打ち込んだり、タブレットに書き込むのは、なんとなく失礼な気がする」からだ。

だが、こういう「常識」は少しずつ変わっていく。

例えば十数年前「Bluetoothのヘッドセット」で通話する人は「独り言みたいで気持ち悪い」から普及しなかった。
でもここ数年でワイヤレス-イヤホンの急速な普及で「電話を手に持たずに通話する」ことに違和感を感じなくなっている。

数年後には、ビジネスの場で紙の手帳が使われなくなるのではないかと思っている。

ただ「記憶の定着に手書きが有効」なのは揺るがない。
技術が進んでも人間の身体は変化のボトルネックになる。文字を覚え単語を覚えるためには、手を動かすことが必要だろう。
子供の教育現場から手書きを無くすことはできないと思う。
まあ「電子ペーパー+スタイラスペン」に代替されることはあるかもしれないが。

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