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人生を変える80対20の法則

神はサイコロを振る。重りの入ったイカサマサイコロを。『人生を変える80対20の法則』

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価値の8割は2割の活動から生み出される。
富の8割は2割の人間が独占する。
人生の幸せの8割は2割の時間で起きている。

世界が不均衡である理由を説き、「80対20の法則」を仕事や生活でうまく活かす方法を解説する本。
「大切なことは何なのか、じっくり見極める。そしてそれに集中する」ことで人生は開けるとする。

ビジネスにおいて「重要な製品、顧客、従業員を見極めて大切にし、プロセスをシンプルにすること」が大切だというのは概ね同意。

ただ私生活の話では「無意識を利用した引き寄せの法則」的な話になって、急にトーンが変わる。そこは冷静に読むべきだろう。

要約

  • 80対20の法則の概観

世界の様々なものごとは「ほとんど影響力がない多数」と「圧倒的な影響力を持つ少数」に分けられる。
80対20の法則は、初期条件の僅かな差が大きな結果の違いにつながる「カオス理論」に通じ、正のフィードバック、負のフィードバックがそれぞれ結果を増強し続けることが原因で生じる。

80%が「大した成果を産まない無駄なもの」だとすれば、無駄を排して大幅に成長する余地が残されているということ。

  • ビジネスにいかす

ビジネスにおいて
・20%の製品が利益の80%を生み
・20%の顧客が売上の80%を生み
・20%の従業員が成果の80%を生み出している

製品軸では、開発から販売までにかかる費用を見極め「本当に利益を生んでいる製品」に集中するのが大切。
顧客軸では、無闇に新規顧客開拓に走るのではなく「大口の既存顧客」を大切にすべき。
社内では、大きな価値を生む従業員を大切に、そうでない従業員にも「重要なことに集中する」よう教育していくべき。また管理職は「プロセスを複雑にすること」で自分の仕事を作り出している。シンプルであることを目指すべき。

  • 生活にいかす

80対20の法則は人間を自由にする。

人生において決定的に重要な事柄はごく少ない。
本当に大切なものを見つけることができれば、そこに集中して何かを成し遂げることができる。目的が何なのか真剣に考え、戦力を一点集中することが勝利の要因。

時間の使い方にも80対20の法則を活かすことができる。
お金のための仕事など、効率を追求すべき部分では、冷徹に20%に集約することで、時間利用に革命的な変化を起こすことができる。

人間関係でも、大切な人間とそうでない関係を見極めるべき。
どうでも良い人間関係に引っ張られて、本当に大切な人との時間を取れないのは本末転倒だ。

  • 80対20の法則の未来

ネットワークは80対20の法則を加速させる。

SNSやEコーマースなど、ネットワークの拡大自体が価値を持つような仕組みでは、さらに集約が進み、80対20ではなく、トップの1%が9割の成果を独占する 90対1 さらには、99対1くらいまで不均衡が広がっている。

ネットビジネスでは、管理コストの低さから「ロングテール」に拡散するという見方もあるが、現実的には上位集中が加速している。

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