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ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣

ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣

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成長するためには「目標設定」よりも「習慣を身につけること」が大切だという視点から、「良い習慣を身につけ、悪い習慣を遠ざける方法」を解説していきます。

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要約

目標設定よりも習慣を!

目標設定は誰でもする。
例えば、東大を受験した人は、全員「東大に入りたい!」という目標を立てたはず。
それでも、合格した人、失敗した人に別れるのだから「目標設定」自体が合否を決める要因であるとはいえない。

結果を決めるのは仕組みづくりだ。
常に向上し続ける「仕組み」を作れるかどうかが成否を分ける。
例えば、スポーツの試合で勝つためには「〇〇大会で優勝」という目標設定ではなく、「〇〇向上のため、〇〇のトレーニングをする」というような具体的な施策の部分。ここを習慣化することが大切だ。

習慣を変え持続していくためには、アイデンティティが重要。
「自分はこういう人間だ」という自己認識が人間の行動を決定していく。
例えば、禁煙中にタバコを勧められた人が「今タバコをやめているから」というのは行動に着目しているが、「私はタバコを吸わないので」というのは自分自身に着目している。成功率が高いのは後者だ。

小さな習慣の積み重ねが大きな成長を生む

作者は、習慣をごく小さく分割した「Atomic Habits」として、日々の僅かな習慣の積み重ねが大きな成果を生むのだとしている。

1日1%の成長は、日々実感することはできない。
だが1日1%を1年間続ければ、日々の複利効果で37倍成長することになる。

また氷は、マイナス100度でもマイナス0.1度でも、氷のままだが、0度を超えた途端に個体から液体に相を変える。
蓄積していった成長は、ある閾値を超えたところで急に目にみえるようになってくるものだ。

良い習慣を身につける4つのステップ

習慣は以下の4つのステップで構成される。

①きっかけ
(例)スマホのメッセージ着信に気がつく

②欲求
 (例)メッセージの内容を見たいと思う

③反応
 (例)実際にメッセージを読む

④報酬
 (例)恋人からのデートの誘いを受け取る


無意識に行われる習慣も、上記のプロセスに沿っている。

良い習慣を身につけるためには
 ・きっかけをはっきりと
 ・欲求を魅力的に
 ・行動を易しく
 ・報酬を満足できるように
すればいい。

逆に悪い習慣を遠ざけるにはこの逆で
 ・きっかけを見にくく
 ・欲求をつまらなく
 ・行動を難しく
 ・報酬を満足できないように
すればいい。

きっかけ

習慣の始まりは「きっかけ」だ。
これをはっきりと見えやすくすることで、良い習慣が身につく。

例えば、寝る前に本を読む習慣を身に付けたいなら、やるべきことは「毎晩50ページ読むという目標」ではなく「ベッドメイクするときに枕元に本を置いておく」ことだ。
あるいは、勉強する習慣を身に付けたいなら「毎日18時間勉強するという目標」ではなく、勉強する気になりやすい「図書館に定期的に通うこと」だ。

逆に、ついスマホを見てしまう習慣をやめたいなら「スマホを別の部屋に置いて目につかないようにする」のが正解。

欲求

きっかけに対する反応が好ましいものであれば、行動に移すことができるし、そうでなければ行動に至らない。
する必要がある行動に対して「好ましい報酬」を結びつけることが有効。

例えば「図書館に行ったら、帰りには好きなお菓子を買って帰る」など。

行動と報酬は近い方が効果的。
また、人間の脳は報酬の実現より「報酬が得られそうだという予測」の方により強く反応する。

悪い習慣を遠ざけるためには、これとは逆に、行動に対してマイナスの報酬を与えればいい。

反応

行動を起こすためには、ハードルを下げて実行しやすくするのが効果的。「最小努力の法則」の従い、もっとも楽な方法を取ろうとするのが人間の本能だ。

例えば、ジムに通うことを習慣にするなら、毎日通る通勤通学路にあるものを選べば行きやすい。
普段通らない離れた場所にあると、行くことのハードルが上がり、習慣として身に付かない。
また、あるメーカでは、作業員が特定の作業をするのに、体を捻るなど余計な行動を一切しないで済むよう工程を設計し成果を上げた。

究極的には「習慣の自動化」が理想。
例えば貯金であれば「自動引き落とし」が有効なように、行動においてもテクノロジーを利用して自動化してしまうのがいい。

逆に悪い習慣を遠ざけたければ、行動のハードルを上げればいい。
例えば、SNSを頻繁にチェックしないよう、都度ログオフてパスワード入力を求める設定にするなど。

報酬

報酬が明確であれば行動は習慣化しやすい。
小さな行動はすぐに成果が出るものではないが、結果を即座に目にみえるようにすることが大切。
例えば、営業電話のノルマを一つこなすごとに、ビンにクリップを入れるなど、意味のないことでも目に見える形するだけで効果がある。

特に「成長の実感」は最大限の報酬だ。
昨日よりも今日が良くなっていることを目に見える形にすることが大きい。

その他

・継続するには
 習慣を記録しよう。完全でなくても続けることが大切。2日続けて習慣をとめない。

・見られていることの力
 人に見られていることが習慣継続の力になる。宣言し周囲の力を借りよう。

・才能の要因
 人には遺伝的に「向き不向き」がある。適正のあるフィールドを選ぼう。
 一方で、才能に溺れていては成果につながらない。努力することが前提だ。

・飽きてきたら
 成長するのは「飽きてきたときにモチベーションを保てる人」
 現在の自分の能力より少しだけ高い目標がモチベーションを上げる。

・良い習慣の悪影響
 習慣化による自動化でより多くのことを簡単にこなせるようになる。
 一方、そこで止まってしまうと、注意を払わなくなりミスが増えたりする。そしてそれ以上の成長はない。
 「習慣+計画的な練習=熟練」を目指そう。
 

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