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ライフ: 終末の後のユートピア

ライフ: 終末の後のユートピア

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なるほど「ユートピア後の終末」じゃなく「終末の後のユートピア」ね。

前半は「遺伝子操作で永遠の若さが可能になった世界」での生活をシミュレートするSF展開。

「永遠の若さ」と「右肩上がりの成長を止められない資本主義」の相性は悪い。「成長より安定」に舵を切ったのは合意理的な判断だと思う。

うまくバランスの取れたユートピアが考えられている。

でも「個別最適の集合が全体最適」ではないように「全体最適の因数分解が個別最適」にはならない。社会全体としてうまくバランスが取れていたとしても、そこで暮らす一人ひとりが「最高に幸せ」になるとは限らない。

これといった不満はないはずなのに、なぜか鬱々として充実感が得られない主人公たちの日常が描かれる。


そして後半は一転してバトル漫画のような急展開。
闘いの中で生きる目的を見出す。

飼い慣らされた平和よりも、目的を持ち自分の意志で人生を切り拓くのが「ユートピア」ということなのだろう。

個人的には、永遠の若さを手に入れ、特に目的もなくフラフラしてる毎日の方が幸福そうに思えるけれど。。

あらすじ

遺伝子操作による若返り技術が政府に独占され、命の時間が「ライフ」という仮想通貨として流通するネオフロンティア。そこは、慎ましく暮らせば永遠に若さを保つことができるユートピアだった。

ネオフロンティアで清掃員として働くマモルと、レストランで働くルシアは、ある日突然ライフを強奪され、ライフをうしなった者たちが辿り着く「シオン自治区」に追いやられてしまう。

シオン自治区で暮らし始めたマモルとルシアは、ライフを奪う強盗組織の存在を知り、彼らから命を取り戻すことを決意した。


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