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なまけもの時間術 管理社会を生き抜く無敵のセオリー23

なまけもの時間術 管理社会を生き抜く無敵のセオリー23

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ナマケモノは1日に8gくらいしか食べない。
チーターはナマケモノの1000倍のスピードで獲物を追い込む。
どちらも適者生存の厳しい競争を勝ち残ってきた戦略だ。

成果主義が叫ばれる社会にも、複数の生存戦略がありえるはずだ。

肩の力が抜けたイメージのある、ひろゆき氏の言葉をまとめた作品。

本書で一番インパクトがあるのは「あとがき」だ。

「あとがきだけは自分で書いているということが世に知れ渡り始めてるひろゆきでした」と、ゴーストライターの存在をあっさりと認めている。

著名人のネームバリューを使う戦略としてゴーストライターを使うのが特別なこととは思わない。だが、あえて主張することで、ひろゆき氏の「名より実」を取る姿勢を明確に表している。

実質を追う部分に特化していること、自分の見せ方をうまくプロデュースしていることが伝わってくる本だった。

以下、ざっくり概要を紹介してみます。

要約

「時間をやりくりする」という発想を疑ってみる

「どんなときでも、与えられた時間の中で、最大の価値をつくる」ことが、ひろゆき氏の時間についての基本ポリシー。実際にはスケジュールが詰まっているようだが、時間は有限ではなくて、むしろ「余っている」という感覚なのだという。


「時間を守る」って、そんなにエライわけ?

ひろゆき氏は「寝たいときに寝て、目が覚めたら起きる型」だという。

「時間通り、期限通りにこなすことに自分の仕事の価値がある」というのでは「ピザの配達バイト」の提供できる価値と変わらない。万全に体調を整え質の高いアウトプットをした方が、よほどいいのではない。

優先順位を意識して「自分だけの価値を生み出すこと」に集中すべきなのだ。


仕事に時間を使うか?遊びに時間を使うか?

「頭を使う」というのは「どれだけ集中力を切らさないか」だと定義している。

仕事では決まった作業を「片付ける」ことがメインで、頭より「体を使う」もので、下手に頭を使わないほうがうまくいく。

本気で没頭し集中できる「遊び」に頭を使い、「仕事」はその余力でやるくらいのバランスがちょうどいい。

遊んでいると、いつの間にかお金が儲かっている人

収入の多い仕事は楽しい。報酬が高いから楽しいのではなく、内容そのものに楽しさがある。

ハードに働いているように見える人でも、本人にとって楽しいことであれば「好きだから延々できる」という部分がある。

時間を「切り売り」するな

自分の時間を費やすなら、自分の作ったものに費やしたい。他人の手のひらの上で働くのではなく、自分で一から作り上げる方が楽しいし、結果的にその方がお金もたくさん稼げる。

「明日できることは、今日やるな」

締切前ギリギリに追い詰められたときの方が効率が上がるので「極限まで手をつけない」という戦略もある。

ただそのためには「自分の最大馬力」を把握して、時間目安をつけておく必要がある。

また「ものすごくイヤなこと」は、手をつけるのに最大のエネルギーを要するので、可能な限りまとめて一度にやる。一方でメールなどは溜めると思い出す手間がかかるので、その場で返すようにしているという。

仕事に使う時間は少なくていい

テクノロジーが進歩しても仕事時間は減らず、むしろ労働時間は増えている。「一生懸命頑張る」という人間が、余計な仕事を作り出しているのではないか。

電車移動をタクシー移動に変えたりして、移動時間、隙間時間でも仕事時間を確保しようとする人がいる。でも本当は電車でぼーっとする時間や、世の中の動向を見る時間の方が、細切れ時間にできる仕事よりも価値があるのではないか。

なるべく頑張らない

「がむしゃらに頑張る」というのは、「負けをひっくり返そう」とする考え方。
そこは早々に諦めて、さっさと別の勝利条件を揃えた方がいい。

努力を否定するわけではないが、「自分の能力だけでなんとかしよう」というのが間違っているのではないかと感じる。

真面目な日本の「窮屈」な働き方

日本には「労働は美徳」という感覚がある。さらに人間関係でも「嫌いな人とも、長い時間を一緒に過ごす」ことを余儀なくされている。

努力することは素晴らしいのかもしれないが、必ず報われるものではない。苦労することが自体が楽しいならいいが、苦しいだけなら逃げ出してしまうことも考えるべきだ。

好きを仕事にしない、という選択

「楽しいことだから延々と続けられる」からといって、必ずしも「好きを仕事に」するべきではない。

「好きなこと」と「仕事として成り立つこと」は重ならない場合も多いし、「仕事は仕事、趣味は趣味」と割り切って仕事以外の時間に趣味に没頭する方がいいかもしれない。

仕事になるか、お金になるか、を気にするのではなく「あ、これ面白いな」と思えるものと出会えるタイミングを逃さないことが大切。

自分がいなくても、世の中は回っている

現場にいる人たちが、自分自身で判断基準を持って決めた方が、即座に最適解が出る。

自分がいなくても仕事は回るもの、仕事においては自分を含めて人を「パーツ」と捉えることで無駄がなくなる。

「堂々と休む勇気」を身につける

「自分が休むと迷惑をかけてしまう」と思って頑張り続ける人よりも「休むためにはどうすればいいか」を考える人の方が大きな価値を生み出せる。

休むことに遠慮を感じる必要はない。

「自由な時間」が仕事になって価値を生む

「こんなことが?」と思うようなことが仕事になるケースが増えてきている。

実際に商売なるかどうかは世の中のニーズとの関係や時の運もあるけれど、少なくとも「ショーケースに並ぶチャンス」はネットの普及で圧倒的に増えている。
「自分だけの価値」を生み出すことができれば、誰にでもチャンスがある時代になっている。

そして「自分だけの価値」を生むためには「自分の自由な時間」が必要なのだ。

「遅刻」との付き合い方

遅刻の多いひろゆき氏だが「遅刻で困ったことがない」のだという。

遅刻が多くても許容する人だけが彼の周りに残ったのだろう。それだけの価値を提供できればいいということだ。

「間違った努力」という時間のムダ

自己鍛錬は時間のムダ。まずはやってみて経験を積むところから始めればいい。
PDCAも時間のムダ。できる人にやってもらった方が早い。

迷うのは「人生の岐路」だけでいい件

迷う時間、選ぶ時間は極力減らしたい。

例えば買い物の場合、本当に重要でこだわりのあるもの以外なら「一番安いものを選ぶ」という選択基準で十分。

他人の心配より、自分の心配

人を変えることはできない。自分でできることだけ自分本位の優先順位で生活設計をすればいい。自分の力の及ばないところで決まることを心配するのは時間のムダ。

SNSなどで他人の動向を気にするのも時間のムダ。主体的に情報収取に使うのはいいが、「何を食べた」とか他人のどうでも良い情報を追う必要はない。

とりあえず、やってみたもん勝ち

「経験」には時間もお金もつぎ込むべき。
初めての場所、初めてのイベント、初めて会う人から得るものは多い。「目的がわからない会合」にとりあえず参加するというのもあり。

人間はヒマだと不幸になる

集中とストレスは共存できない。

考えることで苦しさは増幅するので、考える暇もないほど何かに没頭してしまうことがストレス対策になる。何かに没頭できる自由な時間を確保することが大切。

イヤなことに時間を使わない

「イヤなことをしている時間」はできる限り減らすべき。イヤなことから逃げ続ければ、自由に使える時間は増えていく。逃げることを恥じるべきではない。

中でも「ジワジワと自分を苛むストレス」は最もタチが悪い。明確な困難や逆境はプラスに転じることができても、ジワジワ系のストレスはゆっくり精神と肉体にダメージを蓄積させていく。
そのような環境からはとにかく逃げ出すべき。

人生で「お金」と「幸せ」は切り離して考える

幸せにお金を介在させると、不幸になる確率は高くなる。

「欲しい」と思うとき、そのモノ自体が欲しいのか、それが果たす機能を求めて要るのかを見極める。機能だけであれば、買う以外にも手段があったりする。

よく考えれば意外と低コストで生活することは可能だ。

後悔しない生き方のススメ

過去の失敗を振り返るのは「イヤなことを思い出してストレスを溜める」ことにつながる。過去の失敗を振り返るのではなく、他の方法を考えればいい。失敗を振り返る必要はない。

逆に成功の記憶も振り返らない。そこに新しい情報はないので、新しい情報をインプットしたり、新しいことを考える方が有意義。

僕たちは生きている限り「勝ち組」なんじゃないか

過去を見ている限り、未来を見ることはできない。

そして未来を心配する必要もない。

起こるかどうかも分からない状況を想定して、ただ心配しても意味はない。起こるかもしれない事態を想定して、今準備できる対策を考えることには意味がある。

あれこれ思い悩むより、今の状況を楽しむ方がいい


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