掟上今日子の色見本
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掟上今日子は羽川翼?
考えれば考えるほど「寝ると記憶がリセット」する状態で日常生活を営むのは大変そう。ましてや探偵という専門性の高い仕事を「経験の蓄積なし」でこなすのは、とてつもなく難しそうです。
掟上の「圧倒的な処理能力が空白を埋めている」ということなのでしょうけれど、不自然な感じもします。
彼女は本当に「忘れている」のでしょうか?
忘却探偵シリーズでは語り手が頻繁に変わりますが、掟上今日子の一人称で進むパターンはありません。
彼女の内面は見えず「記憶を失っている」ことを示すのは彼女のセリフと行動だけで客観的な証拠はありません。
ある時点までの記憶は残っているはずなのに、それ以前の人脈をすべて絶っているのも不思議。本当に記憶が継続していないのか疑わしい行動もけっこうあります。
実はなんらかの目的を持って「忘れたふり」をしているのでは、と考えた方が自然です。
今後の展開で、掟上の過去が明かされていってくれればな、と願っています。
ところで「掟上今日子の過去」というと「正体は羽川翼」という説があるようです。
ちなみに羽川翼は同じ西尾維新さんの「物語シリーズ」のメインヒロイン(多分)。
シリーズミックスの『混物語』で「掟上今日子=羽川翼説」は否定されたようですが、掟上のキャラクタ造形に羽川が意識されているのは間違いなさそうです。
私的には、羽川は「失敗したヒロイン」だと思っています。
とてつもなく優しく、優秀で、正しい。完璧に魅力的なキャラクタなんだけど、それゆえ感情移入しにくい。作中でも、その良い子さが「気持ち悪い」と評されていました。
裏の存在となる「ブラック羽川」との対比で羽川の魅力は爆発するのですが、全体を通してのメインヒロインとするには、扱いが難しそう。
物語シリーズの時系列な始まりは「羽川と出会った春休み」のはずなのに、出版の順序はその数ヶ月後、セカンドヒロインとの話からはじまっています。
なんだか不自然だと感じていましたが、羽川メインだと物語世界を作りにくかったのだろう、と今では思います。
で、掟上に話を戻すと、彼女はかなり羽川に似ています。
頭の良さ、処理能力の高さ、顔の造形なんかも羽川っぽい。
一方で掟上に特徴的な部分は、敢えて羽川の逆をついているきらいがあります。例えば「ほとんど制服だけだった羽川と二度と同じ服を着ない掟上」だとか、「無償の奉仕を惜しまない羽川とお金の奴隷を自称する掟上」だとか。
ということで、掟上今日子は羽川翼の「失敗部分」を補正したヒロインなのだろうな、と思っています。
「嘘つき」推ししては、どちらもタイプの嘘つきも大好きですが。
あらすじ
眠ると記憶がリセットされてしまう「忘却探偵」掟上今日子が誘拐される。
「忘れちゃうから完璧な機密保持」な忘却探偵から過去の情報を引き出そうとする誘拐犯。
もう一方では法外な身代金要求を受け東奔西走する掟上ビル住み込み警備員の親切守。
2人の視点で交互に物語は進む。
そして、掟上の手のひらで踊らされる2人。。。