バリ3探偵 圏内ちゃん
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変態の描写がうまいなぁ。
犯人側の「左手首フェチ」もディープだけど、主人公圏内ちゃんの変態ぶりが光りますね。
電波のないところでは意識を失ったり、目の前にいる家族ともチャットアプリでしか話せなかったり、なかなかヤバイ奴です。「忌女版が趣味」ってのもヤバさに拍車をかけてます。
とまあ主人公は変態なのですが、光や音や人の感情などの動きに敏感だから、小さなヒントに気づき真実を見抜く優秀な「探偵」になれるのだという設定は面白い。
ミステリでは、ご都合主義に見えがちな「観察力の鋭さ」はスルーされて、論理を組み立てる「推理力」に脚光が当たる話が多く、「観察力」を最大の武器にする探偵というのは割と斬新です。その特性がネットや忌女版という舞台によく合っているのもいいですね。
現在と11年前の「登場人物の同一性」を推理させる部分もメインの謎解き部分も面白いのですが、冒頭の「圏内ちゃんの観察眼に追い詰められる倒叙的な緊張感」は本当最高でした。
続編、読んでみよう。
あらすじ
ネット接続ができない環境では生きていけない超絶人見知りの見内緑子。でもネット世界では雄弁で、そのずば抜けた洞察力から忌女版では「圏内ちゃん」として崇拝されていた。
電車内で泣く子供にデコピンし、その母親に暴言を浴びせた男子大学生が忌女たちの怒りを買いまくり祭りになる。圏内ちゃんは僅かなヒントから大学生の個人情報を暴き、忌女たちによる制裁を手助けした。
制裁を受けた男は、恋人に振られ、内定を失い、大学も退学となって姿をくらます。忌女たちは落とし前がついたことに満足したが、圏内ちゃんは彼が残した「すごいものを拾った」という書き込みが気にかかった。
その頃「女性の左手首を切り取り持ち去る」という猟奇的な殺人事件が連続していた。警察は11年前に地方都市で起きた同様の事件との関連を調べる。
当時の容疑者である親子はすでに死んでいると思われいたが、刑事たちは今回の連続殺人と同じ匂いを嗅ぎ取った。
圏内ちゃんは、忌女版での出来事と連続殺人事件の関連に気づき真実に迫っていく。