BookLetでは、ビジネス書や小説の1000文字程度のオリジナルレビューを掲載しています。

人生がときめく片づけの魔法

『人生がときめく片づけの魔法』写真なんて紙切れ、思い出なんてただの塵、ではないけれど

こちらで購入可能

「トキメキで残すものを判断しましょう」
「帰ってきたら家に挨拶しましょう」

理路整然とした「片付けメソッド」を期待していると、かなり「スピリチュアル」寄りな内容に面食らいます。

でもよく考えてみると、
・モノが捨てられないのは、合理的判断よりモノへの感情的な執着が原因
・なので、まず整理すべきは感情面
という「感情= 心」に焦点を当てた流れは、実はけっこう合理的なものなんですね。


「こんまり流」の片付けに必要なのは、
①モノを捨てるかどうかを見極める
②モノの定位置を決める

の2つです。


①の「捨てる」は、とにかく一気にやってしまうべき!
といいます。

ここでも「心」に焦点が当たっています。
ある種の「祭り」として一度にモノと向き合う経験が考え方を変え、その後のリバウンドを防ぐことになるのです。

捨てるモノの選別は「実際に触ってみてときめくかどうか」です。実に感覚的な話ですが「触る」というのは確かに重要なポイントだと思います。

頭で考えると「過去への執着、未来への不安」で判断することになりますが、理屈はどうにでもつけられるし実用面はどうにでもリカバリできる。取り戻せないのは「感情」の部分です。そして感情を素直に受け取るために「触る」という感覚が有効というのはその通りだと思います。

「モノを選ぶというのは、極めて個人的な行為で、一つ一つのものにどう感じるか、きちんと向き合うことが大切」なのです。

「たくさんのモノを捨てずに持っているからといって、モノを大切にしているわけではない。モノを捨てたからといって経験がなくなるわけではない」のです。


次に②の「モノの定位置を決める」方は、割とテクニック寄りの話です。

「行動動線にこだわるより、モノ別にまとめた方がいい」とか「収納グッズはほとんど要らない」とか、具体的なアドバイスは役に立ちそうです。

ただ、あまり「こんまり流」の独自性がある部分でありません。

「積み重ねられると服が苦しいから立てておく」とか、説明の仕方は若干スピリチュアル寄りですが、内容は合理的なモノです。



ちなみに私自身は結構持ち物が少ない方で、要らなくなったモノはどんどん手放しています。
それでもモノを捨てるときには、不義理というか罪悪感のようなものを感じていました。

最近ではメルカリなど「誰かに使ってもらう」という言い訳を作れる仕組みもありますが、それでもなんとなく後ろ暗く感じています。やっぱり、一度きちんとモノと向き合って関係にケリをつけることが必要なのでしょう。

「モノと向き合う」のは「他者との関係と向き合う」ことにつながるのかもしれないですね。
大切にすべきものを大切にしたいと思います。

こちらで購入可能