1%の努力
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ひろゆきさんの好きな本として『銃・病原菌・鉄』を挙げています。
その『銃・病原菌・鉄』を超要約すると
・動植物も人も、南北方向より東西方向の移動の方が容易
・ユーラシア大陸は東西に広がり交流が盛んだったから、家畜や農作物の品種が多く豊かで、銃器などの利器を早く発明し、病原菌に対する抗体も多かった
・だから南北に広がるアメリカ大陸の原住民は、東西に広がるユーラシア大陸の侵略者に敗北した
という話です。
つまり、「個々の能力より環境要因が圧倒的に重要」ということ。
99%が環境要因で決まってしまうなら、私たちにできる1%の努力とは「いいタイミングでいい場所にいること」
これが本書のメインメッセージでしょう。
アメリカ大陸が「発見」された16世紀と比べると、現代では、自分で環境を選ぶ余地が十分にあります。
かつては「弓と槍では銃に勝てない」と気付いてから逃げ出そうとしても間に合わなかったでしょう。
でも今なら、例えば日本が斜陽の状況にあると感じているなら「世界のどの地域に可能性があるか」、あるいは「安定して低コストで生活できるか」といったことを調べることはできるし、その気になれば生活拠点を変えることも可能です。
「今いる場所で一所懸命に生きる」ことを尊ぶよりも「いいタイミングでいい場所にいる戦略」の方が、私の感性には合いました。
本書での様々なアドバイスは「いいタイミングでいい場所にいる」につながります。
例えば「前提条件」の章では「守るべきラインを下げてみる」ことを提案しています。「いい場所」に転がり込むため身軽であるべきだということで、守備力を高める方向です。
環境が変わっても生きていくためには、語学力などだけではなく「当面は何食べてもどこに住んでも大丈夫」という図太さが必要なのでしょう。
一方「ニーズと価値」や「ポジション」の章では、「いいタイミング、いい場所」を見つけるための勘所を指南していて、攻撃力を高める方向の話です。
ひろゆきさん自身も、フランスで生活したりアメリカでサービスをリリースしたり、環境を変えてポジション取りを続けています。人々が求めているものの本質を掴み、それを実現しやすい位置を取っていくという戦略を体現しています。
成功者の「俺は頑張った」バイアスを気持ち悪く感じる人にはおすすめの本です。