むかしむかしあるところに、死体がありました。
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昔話×ミステリ
なるほど、こういう作り方もあるのか。
体を大きくする打出の小槌、
時を操る玉手箱、
昔話で知られている小物を使って「特殊設定ミステリ」の前提条件を一言で伝えてくるのはうまいですね。
さらに青柳さんの作品にしては割とダークです。なんとなく腑に落ちないような空恐ろしいような。
考えてみると題材となった昔話自体も、結構不気味だったりしますね。
よく分からない理由で鬼の殺戮に向かう桃太郎だとか、浦島太郎が過ごした時間の意味とか。
そういう「昔話の不気味さ」がちゃんと生きてるお話でした。
あらすじ
一寸法師の不在証明
アリバイト崩し×一寸法師
一寸法師の企みを知る男が殺害される。
だが男が殺されたはずの時間、一寸法師が鬼の体の中にいたことは皆が目撃していた。
一寸法師はどうやってアリバイを作り上げたのか。
花咲か死者伝言
ダイイングメッセージ×花咲かじいさん
優しく無欲なおじいさんが丘で殺された。
おじいさんが握っていたぺんぺん草はダイイングメッセージだったのか。犬のシロが謎を解く。
つるの倒叙がえし
倒叙×鶴の恩返し
男は借金返済を迫る強欲な庄屋を思わず殺してしまう。
男が死体を押し入れに隠した直後「泊まるところがなくて困っている」という女がやってくる。
彼女は助けれくれた恩を機織りで返したいと申し出た。
女は「機織りするところを見てはいけない」と言い、男は「部屋の奥の押し入れを見てはいけない」と言う。
密室龍宮城
密室×浦島太郎
亀を助けた浦島太郎は竜宮城に招かれ乙姫たちの歓待を受けた。
その途中、密室で伊勢海老のお伊勢が首を絞められ殺されていた。
人間の知恵を期待された浦島太郎は密室の謎を解く。
絶海の鬼ヶ島
クローズドサークル×桃太郎
鬼たちが穏やかに暮らす鬼ヶ島。
そこにはかつて「ツノのない悪魔のような桃太郎」がやってきて無抵抗の鬼たちを惨殺したという伝説が残っていた。
ある日、ケンカの罰として納屋に閉じ込められた小鬼の一人が殺される。
鬼たちはそこに「桃太郎」の影をみた。