テスカトリポカ
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煙を吐く鏡1?
ああ、なるほどね。
麻薬密売に臓器売買、「犯罪資本主義」のおぞましさ
そこに古代アステカ文明のおどろおどろしさが加わった、ダークな話です
登場人物も狂気に満ちた人ばかり、というかまともな人間がほとんどいません
アステカ神話に囚われた麻薬王バルミロの狂信的な行動力も恐ろしい、
返り咲きを狙う心臓外科末永の計算ずくの周到さも気持ちが悪い、
犯罪に加担する宇野の無自覚さも不気味です
でも一番怖いのはコシモの「純粋無垢な痛みへの無自覚さ」でした。
両親はほぼ育児放棄の状況で、まともな教育も受けず「素のまま」で育ったコシモ
彼に「人の本性は暴力的で残忍なもの」だと感じさせられました。幼い子供が無感情で虫を殺すようなものでしょうか
生粋の「性善説」で生きてきた私には結構きつい
そして、ラストでは素のままでは残忍なコシモが、初めて出会った「教えてくれる人」との交流を通して「人の痛みを感じる力」を身に付けていきます
「人は人との交流の中で後天的に人への思いやりを身につけていく」というメッセージは、ある意味救いなのでしょうか
個人的には怖い話でした。。
あらすじ
麻薬密売人から逃れメキシコから日本に渡った少女と暴力団の父の間に生まれたコシモ
十分な教育を受けることもなかったが、類まれに屈強な身体を持っていた
祖母からアステカの古代神の物語を聞いて育ったバルミロ
家族を奪った麻薬組織に対抗するため、自らも麻薬密売組織の長となった
だが対立するカルテルに組織を潰され、再帰を図るためインドネシアに渡る
そこで彼は臓器ブローカーの末永を知り、新しい臓器売買ビジネスを立ち上げる
新ビジネスのため日本に向かったバルミロと末永はコシモと出会い、それぞれの運命が交差する