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涼宮ハルヒの消失

ネタバレ感想『涼宮ハルヒの消失』

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あらすじ

涼宮ハルヒシリーズ 第4弾。
高校1年生12月時点から始まる物語。

クリスマスを控えた12月、ハルヒはSOS団でのクリスマス鍋パーティーを企画すうる。キョンはいつも通りハルヒに振り回されていた。

翌日、キョンが登校すると学校の様子が変わっていた。
半年前に引っ越したことになっているはずの 朝倉涼子がクラスにいて、涼宮ハルヒはいないことになっていた。

動揺したキョンは、古泉一樹を探しに行くが1年9組のクラスごと消失していた。
朝日奈みくるは在籍していたが、キョンのことは完全に忘れていた。
文芸部の部室に 長門有希はいてキョンのことを知ってはいたが、キョンとの出会いのエピソードは彼が記憶しているのとは全く違うものだった。

ハルヒと古泉が別の高校に通っていることを知ったキョンは、彼らに会いに行くが、ハルヒは「普通の」好奇心旺盛な女子高生になっていて、古泉も特殊能力を失っていた。

SOS団の5人は「普通の人」の集まりになっていた。
戸惑うキョンの元に、かつての長門からの「緊急脱出プログラム」が届く。

キョンは、初めてハルヒと出会った3年前の七夕に戻り、改変された時間を取り戻していく。

ここからはネタバレありで、時系列を整理してみる。

  • 今年の7月7日
    キョンは3年前の7月7日に時間遡行する。
    そこで中学1年生のハルヒが「宇宙人へのメッセージ」を校庭に書き残すのを手伝い、自分は「ジョン・スミス」だと名乗る。

  • 今年の12月17日
    ハルヒはSOS団のクリスマス鍋パーティーを提案。
    キョンは今まで通りハルヒに振り回される。

  • 今年の12月18日
    長門が世界を改変。
    ハルヒたちが消え、朝倉が復活した世界でキョンは戸惑う。
    長門も以前の記憶を失っていた。

  • 今年の12月20日
    キョンは、別の学校に通っていたハルヒたちを見つける。
    突然話しかけてきたキョンをハルヒは怪しむが「自分がジョン・スミスだ」という言葉に興味を覚え、文芸部室(旧SOS団部室)に向かう。
    改変前の長門が残した「緊急脱出プログラム」を起動し、3年前の7月に戻る。

  • 3年前の7月7日
    長門による改変は1年前までの世界を変えていた。
    キョンはその影響を受けていない3年前まで戻っていた。
    改めて当時のハルヒに会い「ジョン・スミスを忘れるな」と念を押す。
    当時の長門を訪ね、改変を阻止する手段を手に入れる。

  • 今年の12月18日
    現代に戻ったキョンは、長門が改変した世界を元に戻そうとするが、朝倉に襲撃されナイフで刺される。数日後の世界からやって来たSOS団に助けられ、意識を失う。

  • 今年の12月21日
    12月18日に「階段から転げ落ちた」ことになっていたキョンが病院で目覚める。世界は改変前の状態に戻っていた。

  • 今年の12月21日以降、某日
    キョンたちは、12月18日に戻り、過去から戻ったキョンを助ける。

ネタバレ 感想

これは長門とキョンの切ない恋愛物語だ。


「統合思念体のヒューマノイド・インターフェイス」である長門有希は、SOS団との交流の中で「感情というバグ」を蓄積させていく。

長門は「ヒューマノイド・インターフェイスなどでなく、普通の人間である自分」を望み、世界を改変する。

長門自身の記憶も書き換えたが、キョンだけには改変前の記憶を残し、彼自身の選択で「ヒューマノイド・インターフェイスとしての長門」と「人間としての長門」を選んでもらおうとした。

キョンと相互依存関係にあったハルヒは「普通の人」になり、別の学校に通い、他の男(古泉)と近づけられる。結構厳重にキョンから遠ざけられている。

長い時をかけた長門のキョンへの想いは、ひたむきで胸が苦しくなる。


一方で、キョンはハルヒへの思いを自覚する。
ハルヒに振り回される日々に辟易していたはずが、彼女のもたらす刺激ある日々に引き込まれていた。

長門が望んだ「普通の日々」を蹴ってでも、ハルヒと過ごした「忙しい日々」に戻ることを、自分の意志で選んだ。


長門有希ファンとしては切ない決着。


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