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持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない

持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない

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常識は変わる、新しい生き方の実践者!

要約

  • 働きたくない

ほとんどのことは「暇つぶし」。自分が退屈しない最低限の用事をこなしてい剣ばいいというスタンスもあり。やりたいことだけをやればいい。

人は目的に縛られ、自分が達成したこと、手に入れたものに縛られる。結果よりも過程を重視すればいい。

人間は自分に自由意思があり世界を変化させていると考えたい生きものだが、影響を与える規模は実はどうでもよい。

社会に合わせるうち自分を肯定できない状態に陥ったら、まずは「自分的にも社会的にもNG」な状態に入り、そこから「社会的にはNGだけど自分的にはOK」への移行を目指す。その後で「自分的にも社会的にもOK」な状況に戻れる。

  • 家族を作らない

人間は「遺伝子の運び屋」としての生物であるだけでなく、「文化としての遺伝子(ミーム)を広げていく」という方向性もある。自分自身で子供を残すのでなくても文化的なミームを残すことはできる。

「結婚」や「家族」というのは多機能で包括的なパッケージ。恋愛感情、性欲、共同生活、子供や病人、老人の世話や、家が持っている資産や家業の運営管理など、全てを一つのグループでやっていこうという盛りだくさんなシステム。

大半が農家など自営業だった時代には、資産管理や家業継承のため長子単独相続が合理的だったろうし、日本の高度経済成長期などでは「男性が会社で働き、女性が家事や育児を手掛ける」のが合理的だったのかもしれない。

今の社会状況をみると「家族」というシステムに全てを背負わせるのは無理があると著者は見ている。一方で「永続することの安心感」など、流動的な関係性では果たせない機能では「家族」が引き続き必要だともしてる。

  • お金に縛られない

生活コストは下げることができる。

家賃などのコストを下げる方法はいくらでもあるし、お金のかからない娯楽もたくさんある。

本来「必要なモノややりたいこと」は個人的なモノだが、「お金」という共通尺度が入ってくるとそのスピードに追い立てられてしまう。ハイスピードで動いていく社会に適応するより、お金以外の論理で動く部分を忘れずに自分のペースを保つことが大切。

  • 居場所の作り方

人生でやることの7割くらいは居場所作りなのではないかと著者は言う。

家族や会社などのコミュニティに縛られず複数の場所に顔を出し、自分と合わない人とは適度な距離を取る。そのために人間関係の流動性を保つことを意識する。

自分がコミュニティ主催者になってしまうのが意外と楽。

陽次が無くても気軽に集まれる場所を確保しておく。

感想・考察 

作者は

「孤立せず社会とのつながりを持ち続けること」

「自分は何が好きで、何をしている時が一番幸せなのかを把握すること」

の2つが人生において本当に大事なことだ、と言う。そしてこの2つを達成するため、常識に捉われない斬新な考え方を持ち込み、愚直に実践している。

物欲の薄さとか、一見すると「枯れた」感じも醸しているが、「楽しいことを仕事にする」ことや「心地よい居場所を作る」ことに対しては行動的でアグレッシブだ。シェアハウスや別荘などの運営にはそれなりの労力がかかるし、趣味のマネタイズも会社勤めより手間のかかる部分もある。それでも「やりたい」という行動力が見える。

資本主義を次のステージに進めるのは「労働者の団結による闘争」ではなく「消費者の静かな離脱」なのかもしれない。

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