オーブランの少女
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「少女たち」のほとばしる生命力の輝き!
あらすじ
オーブランの少女
オーブランの庭園を管理していた老姉妹の姉が殺され妹も自死してしまった。犯人の老いた女性も極度に衰弱しており錯乱状態のまま息を引き取った。その管理人の妹が持っていた古い日記には、事件の原因と思われる数十年前の出来事が記されていた。
とある病弱な少女が、治療のための施設に送られた。そこで少女はマルグリットと名付けられ、花の名で呼ばれる様々な病状の少女たちと共同生活を営んでいた。
マルグリットは、手紙など外界との交渉を禁止され、腕のリボンで色分けされている状況からここが治療のための施設ではなく、人身売買の拠点なのではないかという疑いを持ち始める。
仮面
医師のアトキンソンは、夫を亡くしたバルベル夫人の処置を行うふりをして毒殺する。バルベルの屋敷に住まう醜い家政婦の少女アミラがアトキンソンを手引きしていた。
大雨とトマト
大雨の中、安食堂に10代半ばの少女が来店し、彼女はメニューにないトマトのサラダを要求する。食堂の店主は、トマトからの連想で十数年前に一度だけ浮気をした女性を思い出す。
少女は「父親をさがしている」と言い、店主は少女にその時の女性の面影を見つける。
片想い
昭和初期の女学校での出来事。
岩本薫子は、寮で同室の可憐な少女 水野環 に密かな憧れを抱いていた。薫子は環がやり取りする手紙から彼女の秘密に気づいてしまう。
氷の皇国
北欧の小さな漁村で、首のない死体が網にかかった。年老いた吟遊詩人は、死体の正体とそれにまつわる出来事を語りだした。
漁村に流れる川の上流にあるユヌースク国はかつて強大な武力を誇り周辺国を圧倒していた。その最後の皇帝は残虐で国民からも恐れられていた。
皇帝が溺愛する王女ケーキリアは元近衛兵ヘイザルを雑役夫として呼び寄せたが、身の危険を覚えたヘイザルは娘のエルダ、友人のヨンとその娘アンニとともにユヌースク国を離れることにする。
ケーキリアはヘイザルの暇の申し出を了承したが、数日後、城内で事件が発生する。
感想・考察
20世紀初頭のヨーロッパだったり、現代の日本のカフェだったり、昭和中期の女学校だったり、ファンタジー匂の漂う北欧の国だったり、それぞれの異なる舞台の雰囲気がよく作り込まれている。
そして舞台は違っても、少女たちのなかで細やかな感受性と強かな生命力が共存する様が共通して描かれている。
トマトサラダを注文した少女や、王女ケーキリアあたりは実に魅力的だ。
「悪女」って中々魅力的だ。