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プラグマティズム入門

プラグマティズム入門

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『不変で確実な真実』はちょっと怪しい。現実に役立てばいいんじゃない。

要約

プラグマティズムとは何か

20世紀初頭に生まれたプラグマティズムは、豊かなダイナミズムを持っていて、重点や方向性により幅広い展開を見せながら、19世紀末から今日まで生き残ってきた。プラグマティズムは元々は「方法論」だったが、「真理」や「価値」という根本原理にまで展開されている。

源流のプラグマティズム

19世紀後半から20世紀初頭、デカルト主義に反する立場から生まれる。

  • パース

パースは、デカルトの「普遍的懐疑・方法的懐疑」は不可能だと示し、「観念の明晰性」が懐疑の末に得られることはないと述べた。

我々の信念は常にしっかりとした基盤があるわけではなく、いくつかの信念がつながりのなかでダイナミックに入れ替わり常に改定されていく「可謬的」なものだとする。

その上で「真理」とは「信念の探求は無際限に継続するが、その収束点として想定できる最終信念」であると考えた。

  • ジェイムズ

ジェイムズはパースの影響を受けながら「真理とは行為のための有効な手段」であるとし、「事実」と「価値」を区別することを批判した。信じようとする意志を持つことで、信念を真理化できると考えた。

「どうしても賭けなければならない場合は、証拠が不十分であっても信じることには意味がある」としデカルトの懐疑主義に反対しているといえる。

  • デューイ

デューイはパースとジェイムズの思想を取り入れながらさらに弾力のある思想へと広げていった。

西洋哲学の前提は「数学的審理など永遠不変の確実な世界と、コントロール可能な流転する世界」の二元論で、哲学・科学は「確実性の追求」を目指していた。

デューイは「不確定な仮説が探求を重ねることで保証付きになる」とし、それは社会的・文化的な背景を根本的に含んでいるとした。科学的探究も道徳的判断なども同じように実験的態度で追求すべきだとしている。

少し前のプラグマティズム

20世紀半ば以降、主流となっていた論理実証主義に対抗する形でネオ・プラグマティズムが広がる。

  • クワイン

クワインは「真偽を問いうるものは実証的なもので、価値は真理に関与しない」 という論理実証主義に対し、実証の元となる分析的・総合的真理は曖昧でありと考えた。

「我々は生のデータを外界から受け取っているのではなく、経験は頑強な部分と修正を受け入れやすい柔軟な部分による信念のネットワークを活用しして世界と向き合っている」とした。信念の真偽は「そのシステムにとっての有用性」によって決められる。

  • ローティー

ローティーは、プラトンからデカルト、カントにまで一貫する「認識論における基礎付け主義」「真理についての本質主義」「言語についての表象主義」を批判した。真理という観念に関しては科学から文学、政治まで優劣のない多元論を取る。

真理が社会的な連帯という意味しか持たないのであれば、個々の文化や時代に固有の真理しかありえず、自分の立場を「自分か中心主義」と規定した。

  • パトナム

パトナムは当初「科学的実在論」を採っていたが、客観的知識の確実性への懐疑から、外界の認識は個々の主体の関心と結びついているという「内在的実在論」へと移行していった。さらに認識とは身の回りの日常的な形での「自然なものの善」への意識を研ぎ澄ませようと提唱する「自然的実在論」へと移行していった。

これからのプラグマティズム

20世紀後半から21世紀にかけてのプラグマティズムの動向を概説する。

言語哲学において「反表象主義」を徹底し、「統語論」「意味論」より分の発話の適切性を判定する基準に関する「語用諭」を重視したブランダムの立場や、パースを再評価し「数学の哲学」という視点からプラグマティズムを深めたマクベスやティエルスランを紹介する。

感想・考察

プラグマティズムは哲学の範囲を超えて、実利主義・現実主義として広がっていて、都合の良い相対主義だと捉えられるかもしれない。だがそもそもプラグマティズムは「方法論」であり「絶対不変の外的な真理」には到達不可能だとしながらも、「それでも真理に達しよう」という思想なのだと捉えた。

後半、特に「これからのプラグマティズム」の章は説明が簡略化され過ぎて、前提知識がない私には理解が追い付かなかった。関連書を読んでから再読してみよう。

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