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掟上今日子の備忘録 忘却探偵

掟上今日子の備忘録 忘却探偵

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あらすじ

1日で記憶を失ってしまう「忘却探偵」掟上今日子が事件を解決する 全5話の短編集。

初めまして、今日子さん

「隠館厄介」は、事件を呼び寄せ、冤罪を受けやすい体質のせいで中々定職に就くことができないでいた。今回働いていた研究所でも、所長が重要データをバックアップしたSDカードが見つからなくなり、隠館たち所員に疑いがかけられていた。

疑われることの多い隠館は探偵の知り合いが多かった。嫌疑を解くため「一度寝てしまうとすべて忘れてしまう、その分事件を最速で解決する」という忘却探偵の 掟上今日子に依頼した。

今日子は全員から話を聴き、部屋を調査してSDカードのありかをほぼ突き止めたが、誰かに仕組まれた睡眠薬で眠ってしまう。掟上はそれまでの捜査内容をすべて忘れてしまい事件の解決は遠ざかったかと思われたが。。

紹介します、今日子さん

出版社で働いていたときに世話になった紺藤から隠館はとある事件について相談を受ける。

紺藤が担当する漫画家里井の事務所から100万円が盗まれ「100万円を返してほしければ1億円を払え」との脅迫を受けた。紺藤には意味が分からず、里井を止めようとするが里井は1億円の支払いを即断してしまう。

「銀行が動き出す週明けまでに、里井を思いとどまらせてほしい」という紺藤からの相談を受け、隠館は今日子に真相解明を依頼する。

お暇ですか、今日子さん

紺藤の出版社で出版を手掛けているミステリ作家「須永昼兵衛」は「原稿を隠し編集者に探させる」というゲームを好んでおり、今回も新作の原稿を須永の別荘で探すというイベントが催された。

紺藤は隠館が今日子に好意を抱いていることを見抜き「現行探し」を口実に彼女を誘い出すことを提案する。

須永の大ファンであった今日子は喜んでゲームに参加することを決めた。しかし須永の別荘に向かう道中、隠館は「須永が亡くなった」との連絡を受ける。

翌日に記憶を持ち越せない今日子に今日一日だけでも楽しい思いをしてもらおうと考えた隠館は紺藤たちと口裏を合わせ、須永が死んだことを隠したまま別荘での原稿探しを始めた。

失礼します、今日子さん

前話で病死だと診断されていた須永が大量の睡眠薬を飲んでおり、自殺だった可能性も出てきた。

紺藤は今日子に自殺か自然死かの判断を依頼する。今日子は須永の心情を知るため、彼の全著作を読むことを決意する。

しかし一度眠ると記憶を保てない今日子は100冊に及ぶ著作を眠らずに読み通さなければならない。隠館に「眠らないよう見張る役」を頼んだうえで過去の3日徹夜を超える長時間の捜査に着手する。

さようなら、今日子さん

前話で今日子を「裏切った」隠館はもう彼女と会うことはないと考えていたが、記憶を失ったはずの今日子は須永の著作から彼の隠した意図を読み取っていた。

【感想・考察】

一日しか記憶を維持できないという無茶な設定の探偵だがちゃんとミステリとして楽しめるのは作者の力量なのだろう。

時間が足りない分、ごく限られた情報から論理だてをするというのもミステリの醍醐味なのだと思った。

また今日子に思いを寄せる隠館にとってみると「一日で記憶をなくす」ことはやっぱり切なくコミカルながらしっとりとした恋愛ストーリーにもなっている。

すぐに次回作が読みたいと思わされる作品だった。

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