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さらば愛しき魔法使い

さらば愛しき魔法使い

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「魔法使いマリィ」シリーズ第3弾。

倒叙ミステリの緊迫感と、探偵たちの脱力感がクセになる。

あらすじ

  • 魔法使いと偽りのドライブ

弁護士として働く岡田英明は、建築会社社長の殺害を計画していた。社長夫人と共謀し、英明とそっくりな腹違いの弟とドライブをさせてアリバイを偽装し、英明自ら社長宅に赴いて殺害した。

社長の死で利益を得る夫人にも、英明にもアリバイがあることから捜査は難航していたが、マリィの「嘘を付くと車が壊れる魔法」で英明の犯行であることが判明する。

聡介は、社長夫人と英明のアリバイ工作を暴いていく。

  • 魔法使いと聖夜の贈り物

マリィのと聡介はクリスマス前のショッピングモールで買い物をしていた。マリィには「欲しいモノ」があるという。

出版社社長の娘との縁談がもちあがった映画評論家の西脇雅也は、邪魔になった恋人を自宅に招き入れ殺害した。西脇は被害者に付きまとっていたストーカーの家に彼女のカバンを投げ入れるという偽装工作を行った。

警察はストーカーによる犯行として捜査を進めていたが、マリィが魔法をかけたグラスでワインを飲んだ西脇は犯行を自供する。聡介は被害者がクリスマスのプレゼントとして用意していた本を糸口に、西脇の偽装を暴いていく。

聡介は、捜査を助け命の危機も救ってくれたマリィに「欲しかったものをプレゼントする」ことを約束する。

  • 魔法使いと血文字の罠

正月早々、殿村淳史は叔父の家を訪れ、経営するバーへの援助を申し入れるが言下に拒否される。淳史は保険金目当てに叔父を殺害し、物取りの犯行に見えるよう工作した。部屋を離れるときアイロン台に血文字で「ア」と書かれていることに気づき、自分に疑いが来ないようトラブルのあった隣家の「アリタ」となるよう書き足した。

初詣で神社に訪れた淳史は、マリィが魔法をかけた神社の鈴の紐に触れ、犯行を自白する。聡介はアイロン台のダイイングメッセージに秘められた謎を真犯人に突き付けた。

聡介のクズっぷりが光る。

  • 魔法使いとバリスタの企み

オカルト雑誌「マー」の記者が「魔法使いを見た」という情報を得て聡介宅付近を探っていた。聡介はマリィに外で魔法を使わないよう念を押す。

バリスタの波佐間健二は、大手飲料会社の役員である妻の親戚の協力を得て、自分の名前の入った缶コーヒーを売り出すこととなった。

自分の喫茶店の店員でもある不倫相手が、妻の不在中に自宅に押し掛け、離婚し結婚することを求めてきたため、うろたえ勢いで殺害してしまう。

波佐間は、被害者に好意を寄せていた喫茶店の常連に疑いを向ける工作をした。外で魔法を使うことを禁じられていたマリィだが、聡介を助けるため常連客に魔法をかけ、彼が無実であることを証明する。

聡介は波佐間に疑いの目を向け、彼の発言の矛盾をついていく。

数日後、マリィの姿が「マー」に掲載され、マリィは忽然と姿を消してしまった。

感想・考察

読者には最初から犯人が分かっているし、魔法の力で刑事も早い段階で犯人が分かっている。そこから犯人の発言の矛盾や物理的な証拠を探していく正統派の倒叙ミステリだ。

イロモノ感のあるキャラを使ったり、ミステリでは反則気味の魔法を取り入れ、コメディ感を強めながら、ミステリとしてはきちんと構成されているのは素晴らしい。「謎解きはディナーのあとで」とかコメディー色の強いミステリを手掛けてきただけある。

第3作となる本書では、マリィと聡介の恋愛ストーリーが急に進展していくが、最終話で唐突にマリィが消えてしまう。

さすがに中途半端感があるので、次回作で続きが見られることを期待したい。

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