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指名される技術 六本木ホステスから盗んだ、稼ぐための仕事

指名される技術 六本木ホステスから盗んだ、稼ぐための仕事

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要約

堀江氏と斎藤氏を合わせた「堀藤」という架空の人物の視点からホステスの技術を客観的な視点から分析している。

いくつかの項目を拾ってみる。

 

「距離感」を利用したマッチングビジネス

ホステスは、展示会主催者やリクルートの情報誌などと同じくマッチングの立役者としてサポートをする仕事。少し離れたところから世話をする距離感が大事。

 

嫌われない技術

キャバ嬢の技術は「好かれること」であるのに対し、高級クラブのママやホステスの技術は「嫌われないこと」必ずしも自分が前面に出ていく必要はない。

 

成績を上げ続けていくのは主役ではない

嫌われないためには、主役を食ってはいけない。上手な脇役を演じらる人が長く成果を出し続けられる。

 

主役の座はクライアントに

かつてトップセールスを誇っていたクラブママは、つい自分をアピールしてしまい、客が離れてしまった。一方、ハワード・カーターはツタンカーメン墓発掘で最期だけはスポンサーにさせ花を持たせた。主役を譲ることで良い関係を保てる。

 

「共犯意識」を利用する

まだお金のない若いころに懐具合を配慮し、短期的には店の利益にならないことをしてくれた。ホステスとは、その後も良い関係を築いている。過程を見せ、プロセスを共有することで共感を生むことができる。

 

複数のクライアントがあれば業績はブレない

ホームランを打つより安定して成果を出すのがプロ。大口顧客も重要だが、安定した業績のためには、複数クライアントを持つことが必要。

 

ノウハウはパターンの発見から

一見無関係に見える因果関係の中にパターンを見つけることがノウハウに繋がる。偶然を必然に変える。

 

感情が分析を邪魔する

自分を前提に考えると、好き嫌いといった感情に捉われる。そこを上手く「躱す」ことが必要。

 

客が本当に求めているものは何か

表面に見える「現象」ではなく「本質」を捉える。クラブやキャバクラであれば

「下心」という現象は見えやすいが、本質的には「主役願望」があると言える。

 

満たすべき願望と満たしてはいけない願望

「主役願望」を満たし満足感は与えつつ「下心」は満たさず、継続させる原動力とする。軍産複合体として戦争の火種を作りつつ武器を供給する米国や、ハードとソフトの両輪で完結しない仕組みを作ったマイクロソフトなども同じ原理を使っている。

 

客が望んでいることを引き出す

まずは客の引き出しを全部開けさせる。相手の願望を勝手に補完してはいけない。相手に振り回されるのはつかれることだが、そこを上手くこなせるのが一流の技術。

 

主役を見誤ってはならない

お客が接待相手を連れてきた場合、接待相手をメインに盛り上げるよりもお客を接待相手の前で盛り立てることが重要。

 

「未来に思い出してもらうこと」が重要

名刺などはすぐに捨てられてしまう。メールやSNSなどに登録してもらうことが関係の始まり。

 

人は自己利得に流れる

人が何かをするのは自分に利益があるから。お互いに利益補完の可能性を見出そうとするゲームだと捉える。

 

自慢話とウソの境界線

話を盛って自慢話をするのであれば信じたフリをすればいい。信じ切ってしまうとリスクがあるが、敢えて追求しても何のメリットもない。

 

敵・味方はどうしてできる

待合室に待機しいつ始まるか分からない状態だと苛立ち始め主催者に敵愾心を持つが、30分後に始まると分かっているだけで余裕が生まれる。プロセスを共有することが相手を味方にする要因の一つ。

 

【感想・考察】

 キャバ嬢やホストの書いた本はストイックで自己顕示欲が強くて、とにかくクセがあって面白い。

アクが強すぎて一緒にいたら疲れそうだが離れた場所で話を聞く分には面白い。競争の厳しい世界で生き残るには、それだけ「前に出る気持ち」が大事なのだろう。

本書は客の立場から観察したもので、夜の世界以外のビジネスにも応用できるようなノウハウ本になっていて、それほどアクの強さは無い。極めてドライに「利益」を考えていくことと、そのために相手を立てながら操縦することを勧めている。

ホリエモンらしいと感じた。

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