交換ウソ日記
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あらすじ
移動教室の机の中にラブレターを見つけた黒田希美。女子に人気のある瀬戸山からの告白に戸惑う。
手紙のやり取りをするうち、瀬戸山は希美の友人江里乃の間違えていたことに気づいたが、希美は間違いだと言い出せず交換日記のやり取りを続けていた。
希美は交換日記では江里乃のフリをしながら、徐々に瀬戸山と直接話すようにもなる。
何にでも白黒をつけないと納得できない瀬戸山だったが、希美の優柔不断さを支える優しさと真摯な努力を見抜いて認めてくれるようになり、希美は急激に瀬戸山に惹かれていく。
感想・考察
優柔不断でいるのも大変だ。
相手を傷つけたくないし、最終的には自分が傷つきたくないから自分の意見を前に出さないでいると「自分が無い」と言われてしまう。
本作で瀬戸山が間接的に示していたように、人が「自分の意見が無い人」に苛立つのは「自分の意見が通る嬉しさよりも、相手の考えが見えないことの怖さが上回るから」なのだろう。
「どっちでもいい」に至った道筋を自分の中にしまわず、素直に話してしまえば受け取られ方は違ってくるはずだ。
本作の主人公希美は、対立している点より高い軸を持ち出すことで諍いをおさめようとしている描写が多く、優柔不断でありながら社会性は高い。
相手を信頼して「どっちでもいい」の道筋を示せれば、もっと生きやすくなっていくのだろう。
優柔不断で苦労している人たちへの応援歌だ。