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読書の技法

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要約

人間にとって最も大切な資産は「時間」だ。
読書は他人の経験や知的努力を自分のものにすることができる。正しい読書法を身に付ければ人生を2倍、3倍に豊かにできる。

ポイントは
・積み重ねの前提として高校教科書レベルの知識を身に付けておくこと
・速読は「読まない本」「読まない箇所」を捨てるための技術
という2点に集約されている。

多読の技法
著者は月平均300冊、多い月には500冊を読破しているという。だがその中で「熟読」している本は、月に4~5冊だ。

読書の要諦は自分なりの考えを生み出す前提となる基礎知識を身に付けることにある。基礎知識を身に付けるには熟読が必要で、熟読に値する本を絞り込むための技術として「速読」がある。

速読をするにも、まったく分からない分野の本で、ただ字面を追っていても何もならない。そのためには高校レベルの基礎知識は身に付けておく必要がある。

熟読の技法
学ぼうとする分野の基本書を3冊から5冊選び熟読する。その時点では上級の応用知識を身に付けようと欲張らない方がいい。基本的な知識を結び付けて「知識体系」を作ることが重要。

熟読の方法は以下の通り。
・中だるみしやすい本の真ん中を読み、最初に読む本を選ぶ。
・1回目は鉛筆で印をつけ、ページを折り返すなど「汚く読む」
・2回目では重要な個所に囲みを作る。
・囲み部分をノートに書き写す。
・3回目にあらためて通読する。
・2冊目以降の基本書も同様に進めるが、ピックアップする箇所は減らす。

速読の技法
1冊を5分で読む「超速読」と、30分で読む「普通の速読」の2つに分けている。

「超速読」は、読むべき本の仕分けと、本の中で読むべき箇所のあたりをつけることが目的。
1冊5分の制限時間を設け、最初と最後、目次以外はひたすらページをめくる。

「普通の速読」では、内容を100%理解しようという完璧主義を捨て、目的意識に合う知識を抜き出すことに注力する。
・「筆者が誰か」で読むかどうかを判断。
・定規を当て後戻りを避けながら、1ページ15秒で読む。
・重要部分以外は「超速読」
・大雑把に理解し「何について書かれた本か」をインデックスしておく。

読書ノートの作り方
「読書ノート」を作ることで記憶を定着させる。
内容の抜粋だけでなくコメントも書く。コメントが浮かばなければ「反対」「賛成」「わからない」「おかしい」という単純な「判断」のレベルで良い。その次のステップとして「自分の意見」が書けるようになれば、その知識を十分理解し運用できるレベルになっているといえる。

何を読めばいいか
知識は積上げられるものなので、自分が欠損している部分を把握しそこを補強することが大事。
高校教科書レベルの知識は十分土台となり得る。だが教科書は教師に補足されることを前提としていて、それだけでは分かりにくく無味乾燥で面白味もない。
受験用の学習参考書は、より理解しやすく作られているので併用するのが良い。

世界史、日本史、政治、国語、数学の各分野について、推薦書とその内容紹介をしている。

また、小説や漫画などを娯楽として読むことも肯定している。
ただ小説や漫画などから「知識を得よう」と考えるのは間違いだとし、「動機付け」や「社会のアナロジー」として役立てること、「代理経験」を積むことに使うのに適しているという。

本はいつ、どこで読むか
佐藤氏自身の仕事・読書のスケジュールを公開。

時間を有効に使う手段として以下のようなアイデアをあげる。
・背景知識のある本を細切れ時間のために用意する。
・場所を変えると効率が変わる。自分に適した場所を探す。
・書評会を行い、他の人から知識を得る。

感想・考察

佐藤優氏の読書術に関する本では、読書術自体よりも「取り上げた本の内容紹介と、それに対する佐藤氏の見解」にウエイトが置かれることが多い。

本書も例外ではなく、第2部「何を読めばいいか」では必読書を紹介する体で、民族問題などの論評にいつの間にか移行している。
本の趣旨と外れるのだが「でも、ここが面白い

「読書の技法」部分も参考になるが、置かれた状況や求められているアウトプットによって最適解は変わってくる。私のような一般人が佐藤氏の「技法」から学べることは限られている。

だが、佐藤氏の思想やその背景は面白いし普遍的に有益だ。引用されている関連書籍を読んでみたいと思わされる。「読書の技法」というタイトルで惹きつけられるが、中には様々な分野に興味を引くフックが溢れていて、さらなる読書へといざなう。

この本を読んで、高校数学や世界史の基本書をポチった自分は、佐藤氏の戦略に乗せられたということだろう。さすが元諜報員だ。

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