いま君に伝えたいお金の話
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要約
子供向けの「お金」についての本。経済が回る仕組みを分かりやすく解説している。大人が読んでも十分面白い。
お金って何だろう
日本ではお金についての教育がほとんどなく、お金を「汚いもの」と考える人も多い。
だが、お金は社会の血液であり循環させることで社会が豊かになる。個人としても、やりたいことをやるため、困ったときの助けとして、お金は絶対にあった方がいい。
「お金に支配されない」ために、お金以外の「幸せ」の基準を持つことも大事。
お金と世の中の関係
モノの値段は絶対的な価値ではなく「需要と供給のバランス」で決まる。豊漁の時期のサンマは安くておいしいが、不漁の時期には高いのに美味しくないことを挙げ、値段は必ずしも価値と比例しないことを説明する。
自分にとって価値のあるモノにお金を使うべきで、高いから良いものだと考えて買うのは無駄遣いだとする。
君がお金を手にする方法
「好きなこと」が仕事になれば素晴らしいが、それが「人の役に立つかどうか」が重要。何でもいいから夢中になってとことん突き詰めると楽しくなってくるということもある。
「好きなことのために、別の仕事でお金を稼ぐ」方が幸せなこともある。例えば旅行好きな人が、ツアーコンダクターになり仕事にしてしまうと、旅行の本質的な楽しみが失われてしまうかもしれない。
好きなことのため稼ぎの良くない仕事をするのもいいが、その場合はよく考えて納得することが必要。何を得て何を失うのか納得ずくであれば問題ない。
最終的には仕事を通して「ミッション」を見つけられるかどうかが大切。
働き方が大きく変わる
日本でも終身雇用が崩れてきた。
転職しながらキャリアを積み上げたり、会社で働きながら副業をこなしたり、自営業として会社に勤めないという選択肢を取ることが必要になってきている。
アイデアを元に自分で仕事を作る「起業」という選択肢もある。アイデアのほとんどはモノにならず、実際に100件のうち1件も成功しない。
だがテクノロジーの進化は徐々に世界を変えている。失敗の可能性が高いことを理解した上で挑戦することに価値がある。
稼いだお金を貯めて増やす
お金は貯金しているだけでは増えないし、インフレで相対的な価値が低下することもある。考えて投資運用することが大事。
投資をする際に大事なのは「期待値」という考え方。損を怖れるのではなく、損する可能性が高くても、高いリターンが望め期待値が100%以上になるなら、リスクを負える範囲で攻めるべき。逆に期待値が100%以下なら、それまでの投資が無駄になっても手を引くべき。
お金と向き合うための覚悟
借金は自分の力で届かないところに手を伸ばすための便利な道具だが、必ず返すことが必要。
どうやって返すか、もし返せなかったらどういうリスクを負うのか、完全に理解し覚悟するのでなければ、借金すべきではない。
とっておきのお金の使い方
お金をもっとも有効に使えるよう寄付することにも意味がある。
村上氏は自分で寄付することもあるが、寄付を募る仕組みを作る方が大事だと考えている。100万円を一人で寄付していても自分の財力が失われれば続かない。だが200人が5000円ずつ寄付してくれる仕組みができれば、一気にゼロになることはなくなる。
感想・考察
子どもを対象とした本で、簡単な言葉で分かりやすく説明されている。
10歳の子供が株式投資に熱中するのが「良いこと」なのか判断は難しいが、お金の仕組みを知らないことが不幸につながるのは間違いない。
経済が回っている仕組みは若いうちから理解しつつ、その上で自分がどう向き合うのか態度を意識的に決めるべきということだ。
大人が読んでも役に立つ。