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ペンギン・ハイウェイ

ペンギン・ハイウェイ

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あらすじ

小学4年生のアオヤマ君は、毎日の発見をノートに取り学び続け、日々「昨日の自分よりもえらくなる」ことを目指している。

ある日、アオヤマ君の住む新興住宅地に大量のペンギンが出現した。その日の夜ペンギンたちはトラックで運び出されたが、途中で忽然と消えてしまったという。アオヤマ君は、ペンギンが上陸するときに必ず通る道を「ペンギンハイウェイ」と呼ぶことにちなみ、その謎を「ペンギン・ハイウェイ研究」と名付け、解明に取り組んだ。

アオヤマ君は、憧れている歯医者の「お姉さん」と、ときおり海辺のカフェでチェスの対戦をしたりしている。その日はペンギンの謎について話をしたが、まだ材料がなく原因不明だった。

後日、アオヤマ君が友人のウチダ君と遊んでいると、クラスで対立しているスズキ君たちが現れ、アオヤマ君を縛り付けて放置していった。
そこに現れたお姉さんはアオヤマ君を助け、その場でコーラの缶をペンギンに変えてみせた。

お姉さんは、自分がなぜペンギンを作れるのか自分でも分からないと言う。アオヤマ君はお姉さんがペンギンを生み出す謎を研究しようとする。お姉さんは日によって体調が激しく変わり、ペンギンを作れたり作れなかったり、時にはペンギン以外のものを作りだしたりしていた。

その頃、クラスメートのハマモトさんがアオヤマ君とウチダ君に秘密を打ち明ける。森の奥の草原に、彼女が「海」と名付けた球体が浮遊していた。
「海」は周期的に拡大縮小し、は物理法則を無視したように光を屈折させたりしていた。時々は小さな球体を放出し、その球体に飲み込まれたスズキ君はタイムリープのような現象を経験していた。

ウチダ君が「海」が吐き出した球体に飲み込まれそうになったとき、お姉さんがペンギンとともに現れ、ペンギンが球体を消して彼を助けた。

アオヤマ君は「海」の縮小拡大の周期と、お姉さんの体調変化が同期していることに気づき、「お姉さんとペンギンにまつわる謎」と「海の謎」は一つの問題なのではないかと思い至った。

感想・考察

お姉さんは何者だったのか、ペンギンはどうして生まれたのか、「海」とは何だったのか、明確な答えは示されない。

アオヤマ君の父が「世界の果ては折りたたまれて、世界の内側にもぐりこんでいる」と言ったように「海」は宇宙の果てで並行世界と繋がっていて、お姉さんは二つの宇宙の干渉を調整する役割だったのかもしれないし、そうではないかもしれない。

いずれにせよ、物語の最期でアオヤマ君が「ペンギン・ハイウェイを走って」お姉さんに再び会いに行くと言っている。ペンギンが通って来た道 = 並行世界に通じる道 を探し出そうという決意で、アオヤマ君はそう認識しているということなのだろう。

映画化もされているようなので、いつか見てみよう。

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