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ブルーローズは眠らない

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あらすじ

ジェリーフィッシュは凍らない』に続く、マリア・ソールズベリー&九条漣シリーズ第2弾。

とある火災現場で、連続殺人の状況が描かれた日記が発見された。
日記に書かれた事件の日付は火災の前年だったが、その時期に連続で人が失踪した記録もなく、また書かれていた大雨と土砂崩れもなかったことから、誰かの妄想を綴ったフィクションだと思われていた。

同じころ、分子生物工学を専攻する フランキー・テニエル博士と、アマチュア園芸家である牧師 ロビン・クリーブランド が、ほぼ同時期に「青いバラ」を作ることに成功したとのニュースが流れた。

燃え残った日記には、青いバラを開発した大学教授と牧師が登場していて、名前も似通っていたことから、現実と何か関係があるのではないかと考えた警察が調査を開始した。

物語は、マリア・ソールズベリーと九条漣による捜査の「ブルーローズ」パートと、日記に登場した少年エリックの一人称「プロトタイプ」パートが交互に重なって進んでいく。

[プロトタイプパート]
エリックは虐待する両親から逃れてテニエル家に辿り着き保護された。エリックは大学教授であるフランクの遺伝子組み換え研究を助け、フランクの妻ケイト、娘のアイリスとともに暮らし始めた。
ところが、エリックが生家で起こした事件を捜査する警察官に追われ、テニエル家に悲劇が訪れた。

[ブルーローズパート]
マリアと漣は、テニエル教授とクリーブランド牧師に聞き取りを行い、青いバラの生育について詳しい説明を受けた。
だがその数日後、テニエル博士が別宅で殺害され、首だけが温室に放置されているのが発見された。温室内には拘束された学生が一人いたが、ドアや窓が閉鎖された密室だった。
またその後、クリーブランド牧師のアリバイを証明した研究者も殺害され、事件は連続殺人に発展していった。

プロトタイプとブルーローズ、2つの話はどのようにつながっていくのか。

感想・考察

同じようで微妙にずれている、エリックのパートとマリアと漣のパートが、どのように重なるのか、いろいろ考えさせられたが、読み終わって「なるほど、ここで騙しにきてたんだ」と驚かされた。
「地の文では嘘をつかない」というミステリの約束を守りつつ、ギリギリを攻める感じがさすが。『ジェリーフィッシュは凍らない』に続く傑作だ。

2つの物語の重なり方が鮮やか過ぎて、アリバイや密室のトリックはかえって浮いてしまったくらいだ。

こういう「ミステリの醍醐味」を味わえる本格派は、やっぱりいい。

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