やりたいことをやれ
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あらすじ
本田技研工業を立ち上げた本田宗一郎氏の語録。
印象に残った項目を取り上げていく。
まず第一歩を
進歩のためには第一歩を踏み出すのが大事。「猿も木から落ちる」ような気の緩みによる失敗は良くない。進歩を目指す失敗だけが許される。
うかうかしていると
日進月歩の時代には、時代の趨勢を見極める能力が必須。すべてが勉強であり、自分の知識を与え人からも知識をもらう。
人の心を知る
科学技術も人間のためにある。人間の心を理解しなければ、大衆に受け入れられる商品を想像することはできない。
若い人たちのほうが偉い
「今の若い者は・・」という非難は紙よの昔からある。だが若い世代が前世代になかった技術を発展させてきた。いつの時代も若い人のほうが偉い。
ゆがんだ労働観
人間の力は1/20馬力程度で安定していない。体を使った労働では人間は機械にかなわない。だが人間がアイデアを活かすことで数千の労働力よりも大きな成果を出すことができる。
諸悪の根源
人種や家柄、学歴などで人間を判断するのは絶対に認められない。
技術の根本は礼儀
科学技術は手段に過ぎない。科学技術を研究するのは人間の幸せのため。人に対する敬意を忘れてはいけない。
経験は過去のこと
本田氏は空冷エンジンにこだわったが、過去の経験による判断で現状では間違いだと分かった。若い人には未来がある。それに気づかなければ老害となる。
平凡なことを忘れない
徳を持つ、人に好かれるというのは平凡なことだが、人間としての基本で大事なこと。
自分のために働け
会社のために働くのではなく「自分が幸せになるように働く」のが大事。個人個人が赤裸々な人間性を出して、感動しながら仕事をすることで、結果的に会社の生長にもつながる。
若さの特徴
若さの強みは「過去を持たないこと」。なまじっかの知識がないからこそ、現実を直観的に受け止め新鮮な心で見ることができる。それが新しい創造につながっていく。
知りたいのは未来
知識自体は過去のもの。知識を使って未来を開拓するのでなければ価値はない。
相手の立場で
こちらの望みを受け入れてもらうには、まず先方の心を知らなければならない。相手の立場に置き換えたものの見方、考え方をすることが大切だ。
あいまいさの効用
イエスかノーで言えないあいまいなものは、行き詰まらずあちこちに繋がり発展の余地がある。技術においてもあいまいさが必要な時もある。
人を慮る精神
ホンダは現地での反感を抑えるため現地生産を促進した。企業の目的は、国を取ることではなくモノを作手儲けること、だと考える。
金より時間
時間は平等に与えられていて、いかに使うかはそれぞれの才覚。限られた時間内にどれだけのことを果たせるか、スピードが大事。
老兵がいつまでもがんばったら
年寄りがいつまでもがんばっていると、どんどん進む世の中で年寄りがブレーキになってしまう。
本物の自由人
自分の意志のままに行動して、それが無意識のうちに社会の発展に寄与できるのが、本物の自由人だ。
行動は全人格の表現
文字や言葉には計算された嘘も入る。だが行動で嘘をつくことはできない。
何ごとも真剣に
今していることが大きい仕事なのか、小さい仕事なのかの区別に意味はない。小さなものが大きなものに発展するかもしれない。何ごとにも真剣に取り組むべきだ。
困ることの大切さ
問題にぶつかってハタと困る、という経験は素晴らしい。過去の知識を総動員して工夫したり、周囲の力を借りたりする中で、人は成長していくものだ。
感想・考察
本書を書いた時点で本田宗一郎氏は80歳に近かったとのことだが、日々発展していく技術の世界に生きていただけあって、新しいものを評価する進歩的な視点を持っていたようだ。
技術者+経営者 の言葉は、すっきりしていて気持ちが良い。
「古いものを知ること」に価値を置く教育を認めず、過去の知識は未来を拓くために使ってこそ意味があると考える実践主義者だ。老人は去り若い人に任せるべきだという話も繰り返し出てくる。
人が長生きになり高齢化社会が進んでいくと、高齢者が働かざるを得ない状況になってくるのは間違いないが、今までの常識に捉われると若い人の推進力を阻害することにもなりかねない。
若者に対するエールであり、高齢者に対する警句でもある内容だ。