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お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!

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要約

必要十分で実用的なフリーランス向けの税金講座。マンガパートと説明文パートに分かれていて理解しやすい。

フリーランスと会社員

会社員であれば税務申告は会社が行うが、フリーランスはすべて自分で行う必要がある。また社会保険も会社員であれば会社負担分があるが、フリーランスは個人で支払う必要がある。

フリーランスになったら「開業届」を、原則一カ月以内に所轄の税務署に提出する必要がある。
開業準備で使った経費の領収書などは保管し、開業後には必要に応じて青色申告も提出し、国民年金や国民健康保険への加入手続きを行う必要がある。

税金の基礎

主な税金は、所得税・住民税・事業税・消費税の4つ。

所得税は稼いだ所得に対してかかる税金。所得額によって5%~45%の範囲で累進する。会社員であれば確定申告で戻ってくる可能性もある。

住民税は地方自治体に支払う税金。所得に対して10%。前年の所得に対して請求されるので会社を辞めた場合などは要注意。

事業税は事業の種類によってかかる税金。例えばアフィリエイトで稼ぐブロガーは「広告業」として申請すると5%の事業税がかかるが、「文筆業」と認められれば0% など節税に繋がる申告方法もある。

社会保険

社会保険は会社員が有利。

会社員であれば手続きは会社が行うし、保険料のほぼ半額は会社が負担してくれる。フリーランスはすべて自分で手続する必要があり、当然会社からの補助もなく、家族の扶養制度が使えない。

家族が会社員で健康保険に入っていて、その扶養に入れるレベルの収入(130万円未満)であれば、扶養に入るのが一番得。
あるいは退職した会社の健康保険に任意継続することができれば、会社補助はないとしても有利になることが多い。

年金も、会社員は厚生年金と国民年金の二階建てなのに対して、フリーランスは国民年金分だけで受給額は少ない。
年金未納分は利益の上がった年度にまとめて払うと節税効果。

確定申告

確定申告で所得を申告し税金の額を決める必要がある。これを行わないと脱税。
実際にはほぼ申告した通りに認められ、個人に税務調査が入るのは1~2%程度の確率。不審な経費はないか、売上を少な目に申告していないか、など極端に怪しい項目があった場合に調査対象となる。

経費は自分の仕事に関係し、事業を行っていなければ支出しないもの。勘定科目に振り分けて整理するが、個人レベルであれば勘定科目を厳密にする必要はなく、経費と売上のバランスが大切。
自宅で仕事をしている場合、家賃なども経費になるが、生活と仕事の比率で「家事案分」する必要がある。

経費として申告しなかった分もレシートを取っておくと、税務調査の際に好印象になる。

確定申告には、事前の届け出が必要ない白色申告、簡易簿記で済む10万円控除の青色申告、複式簿記が必要な65万円控除の青色申告がある。
会計ソフトを使うと複式簿記もそれほど難しくはない。

申告のタイミングが遅れると、65万円控除が受けられなくなり、遅延が2年くと控除は0円になってしまう。

65万円控除されると、課税最低所得の場合、納税額で 9万5千円 ほどの減額となる。
税理士に相談すると20万円程度の報酬が必要になるので、所得税率が20%以上になるレベルであればメリットがある。また作業や交渉を代行してくれるメリットもある。

節税テクニック

ふるさと納税で任意の地方団体に寄付すると、その金額分は居住地の住民税から控除される。ふるさと納税に対する返礼品があるのでその分はオトク。ただし控除の上限があるので注意。

退職金の代わりに、小規模企業共済に加入すると、銀行より金利が高く全額控除対象となるので有利。
確定拠出年金 iDeCo も 運用益に対して課税されないのでオトク。

前々年の課税売上が1000万円以下であれば消費税をおさめる必要はないが、消費税の項目でお金を受け取ること自体は問題ない。
今後支払う可能性があるかもしれないし、課税対象となったとたんに値上げをすることもできないので、対象外であっても請求するのは一般的。

法人化すると節税メリットもあるが、従業員の社会保険保険負担など負担が増える部分もある。ケースバイケースだが、大体600万円程度の利益があれば法人化で節税効果が出始める。法人化には信用度UPなどの効果もあるので、単純に金額だけでは判断できない。

副業と確定申告

サラリーマンが副業する場合も確定申告は必要。ただ副業の所得が年間20万円以下であれば必要ない。販売品目が生活必需品であれば申告不要だが、転売などで利益を上げている場合は、営利目的であり申告対象と判断されることもある。

会社に副業をばらしたくない場合、確定申告やマイナンバーでバレることはないが、住民税の金額でバレるケースが多い。
役所に副業分と会社分の住民税を分けて発送するよう依頼することは可能。

感想・考察

ちょうど今年、開業届や青色申告申請を行うため色々調べたのだが、ネットの情報は玉石混交で、時間がかかる割に分かりにくかった。

本書は実践的なポイントを押さえていて分かりやすい。
「まさにここが知りたかった」という項目が取り上げられている。
実務をみている税理士さんの話だけあって、実際はこの辺が落としどころ、という感覚がつかみやすい。

フリーランスになってお金を稼ごうとする人や、副業での収入が出てきた人であれば、一読しておくとよいだろう。

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