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櫻子さんの足下には死体が埋まっている

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あらすじ

「骨」を愛し骨格標本を集めている九条櫻子が、高校生の館脇正太郎を巻き込みながら事件を解決していく。

第壱骨: 美しい人
妹と連絡が取れなくなった姉から、アパートを管理する正太郎の母に鍵を開けて欲しいと依頼があった。
正太郎は櫻子と一緒にそのアパートに訪れ、住人が死んでいることを発見する。
部屋はチェーンロックがかかり窓も閉じられた「密室」だったが、部屋の中は荒らされた跡があったが、トリックを使った密室と考えるには無理がある。

櫻子は正太郎を 植物園に連れていった。

第弐骨: 頭
櫻子と正太郎は旭川から車に乗り増毛海岸まで遊びに来ていた。海岸に流される動物の骨を探していると、人の頭蓋骨と思われる骨を拾ってしまう。
連絡を受け駆け付けた警察官は、近くで発生した男女の心中と思われる事件を捜査していたという。

櫻子は、お互いの手を縛った水死体を見て自殺ではない可能性を指摘する。

第参骨: 薔薇の木の下
櫻子は叔父の見舞いに持っていく薔薇を受け取るため、正太郎と一緒に薔薇園を経営する薔子の家を訪れた。
その夜、薔子の家では「降霊会」が催され、櫻子と正太郎も参加させられることになる。当初予定していた霊ではなく、最近亡くなった薔子の夫の霊が降りてきた。その霊はウィジャ・ボードを通して「私は事故死したのではなく殺された。私を殺した人はこの中にいる」と言った。

櫻子は降霊など茶番だと断じた。

感想・考察

複雑な謎が組み込まれたミステリというわけではないが、櫻子さんのシニカルなリアリストっぷりが面白い。

強烈な好奇心で真実を暴くことには興味があるが、その帰結には興味がない。
「肉や皮に隠された骨格を見てみたい、でもただ骨が好きなだけで、生きていた動物のことを考えるわけではない」という骨格標本コレクターの性向と共通するのだろう。

実際に最終話で、真実らしきものを見つけても、それをどう扱うかは直接の利害関係者に任せようとしている。「誰も幸せにならないから公表しない」という遺族の判断を尊重しようとする。

「真実はいつも一つ。でもそれが人を幸せにするとは限らない」という乾いた感じはコナンさんあたりも理解すべきだろう。

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