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まんがで身につくアドラー 明日を変える心理学―――誰でも3日で変われる。

まんがで身につくアドラー 明日を変える心理学―――誰でも3日で変われる。

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要約

元小学校教師のカフェ店主が、かつての教え子たちの悩みにアドラー心理学のエッセンスを交えアドバイスする 8編のストーリー。

優越感と劣等感
人間には「優越を求める心」があり、それは「劣等感を埋める」ためのもの。
劣等感を感じるかどうかは個人の主観的な意味合いが強く、主観的な劣等感が強いほど優越感の追求が激しくなる。
アドラー心理学では、劣等感や優越感に捉われる次元からの脱却を提唱している。

ライフ・タスク
あらゆる悩みは人間関係にまつわる3つのライフタスク「仕事」「交友」「愛」に集約されるという。
それぞれのタスクへの力の入れ方は、人によって比重が異なるが、バランスを崩壊させてはいけない。
また「適切な行動・高い共同体感覚・勇気・挑戦する力」など、積極的で能動的、主体的な取組が必要だとしている。

課題の分離
「自分の課題」と「他者の課題」を仕分け、他者の期待を満たすためでなく、自分のために生きるべきだとする。
一歩引いて冷静に眺め、自分の課題と他者の課題を区別する勇気を持ち、他者の課題に手を出さず、自分の課題に取り組んでいくことが必要。

家族会議
人間は対等であるべきで、そのための民主主義的な手段として「家族会議」が有効だとする。
家族会議と称しているが、家庭内には限らない。
決定済み結論の通達の場でも、相手を遣り込めるディベートでもなく、互いが意見を述べ、お互いに尊重しながら、話し合いで合意に達していく場であれば、会社でも学校でもよい。
また「あなたは~だ」という言い方は相手への非難になりやすいので、「私は~だ」というように、自分の立場で感じていることや意見を述べるべきだとする。

意味づけ
私たちは現実を、自分の主観で「意味づけ」して見ている。
意味づけに偏向があるとすべてのものに影響するため、それを自覚し客観的に分析する必要があるとする。
そのために「本当のところ、自分は自分のことをどう思っているか」を自問してみることが重要だという。

ライフスタイル
自分のライフスタイル≒性格は自分で選んだものだとする。
「原因」があって性格が決まるのではなく、自分がこうありたいという「目的」のために、時に無意識に自分で自分のライフスタイルを選んでいる。
自分のライフスタイルを見つめ直し、必要なら適切なものに変えていく勇気が必要だという。

不完全である勇気
「完全であろうとするから苦しくなる」という。
雑で無責任であってはいけないが「自分の想定とは違うことも寛大に受け入れていく心の大きさや強さ」が大切であるとする。
「不完全である勇気」を持つことは「挑戦する勇気」を持つことと表裏一体でもある。

共同体感覚
「幸せとは、富や名声からではなく、豊かな人間関係から生まれる」という。
共同体感覚を育てるには、世界観や人間観などの信念が問われる。「人間嫌い」「人と自分は関係ないという思い」などは、共同体によい影響をもたらさず、対人関係が上手くいかなくなる。
自分で決め責任を持ちつつ、協力し人を大切にして人の役に立つことを通して幸せを築くことも求める。個人の自立や責任と共同体との関りの両方が重要だとしている。

感想・考察

マンガなのでサラッと読めてしまうが内容はヘビー。きちんと理解しようと思うと、立ち止まってよく考える必要がある。
類書を読んで理解を深めるための入門書として、優秀なのだと思う。

アドラーの提言の中で、とくに共感し実践しようと意識しているのは、
「自分と他人の課題の分離」と
「性格や性向は、環境が原因となって作られるのではなく目的のため自分で選び取っている」
という2点だ。

「他人のために自分を犠牲にする」という姿勢は、自分が取り組むべき課題からの逃避で、相手のためにもなっていない。共同体の中では人の役に立つことも必要になるが、それが「自分の課題」として取り組むのでなければ、無意味だし時には有害かもしれない。
どうしても「やらされ感」が募ってしまう自分には、課題を分離し選んだことは自分事として取り組むことが必要なのだろう。

また、性格や性向は「原因」が作るのではなく「目的」のため自分で選び取っているという見方は勇気を与えてくれる。
イヤな人間がいるから居心地が悪いのではなく、自分が本音ではその状況を望んでいるから、その人をイヤだと感じ、居心地悪く感じているのだとすれば、自分の認識を自省することで相手を変えることなく、現状を変えられる。

相手に問題があるとしても、それを変えるのはその人の課題で、自分が手を出すことはできないし、手を出すべきではない。
ただ、自分の認識を見つめ直すことは自分の課題で自分にしかできないことだ。

実際にはとても難しいことなのだとは思う。本書のストーリーのようにすんなりとハッピーな結末に辿り着けるわけではないだろう。
それでも、自分事としてコントロールできるのだと考えると希望がある。

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