神のダイスを見上げて
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あらすじ
直径400㎞ある「小惑星ダイス」が地球に迫っていた。
地球と衝突するのか確定できないまま「裁きの刻」とよばれる運命の時間は近づいていた。
世界が不安にざわつく中、高校生 漆原亮の姉 圭子が殺害される。
姉弟二人で暮らしていた漆原にとって姉は世界のすべてだった。
漆原は姉を殺した犯人を見つけ復讐することを誓う。小惑星ダイスが接近する「裁きの刻」まで残り数日で、もし衝突するなら犯人の命も数日だが、皆と一緒に苦しまずに死ぬことが許せず、自分の手で決着をつけようとしていた。
同級生の四元美咲の紹介で、漆原は改造拳銃を手に入れた。
四元は「世界のすべてだった姉を失ってどう感じたのか、仇を討ったあとはどう感じるのか」を知りたがっていた。
漆原は姉の恋人だったと思われる男の名を聞き彼の元を訪れた。だが彼は姉とは付き合っていないと言い、その場には彼の恋人だという女性も現れた。
また漆原は調査に来た女性刑事と密約を結び、お互いに情報交換することを約束する。
犯人を追い捜査を進めていく漆原あてに、無くなっていた姉のスマホからメッセージが届く。犯人からの誘いに乗った漆原は、罠にかけられながらも限られた時間の中で全面対決に突入していく。
感想・考察
地球最後かもしれない日を描くパニック小説であり、二転三転するサスペンスでもある。
人は追い詰められて本性・本音をさらけ出す。
本当に一緒にいたい人が見えてくる。ヒステリックになる人もいるだろう。
恐怖から思考停止してカルトにハマる人々や暴動に走る民衆が登場する。主人公の漆原やその姉も、追いつめられて冷静さを失っている。
だが著者は人間の強さを信じている部分もあるようだ。
最後まで自分の使命を果たそうとする医師や自衛隊員たちが世界の崩壊を止める。四元美咲は理性を失った漆原に救いの道を示す。
今日と同じ明日が永遠に続くわけではない。
「地球最後の日には誰と一緒にいたいのか」
「今日が人生最後の日だとしたら、自分がすべき使命は何か」
をよく考え、ブレない軸を持って生きたいと思った。