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ノッキンオン・ロックドドア2

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あらすじ

ノッキンオン・ロックドドア』シリーズ第2弾。
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密室などの不可能犯罪がどう行われたのか「ハウダニット」を専門とする御殿場倒理と、動機の見えない不可解な犯罪に隠された心理を探る「ワイダニット」を得意とする片無氷雨。 二人が共同経営する探偵事務所「ノッキンオン・ロックトドア」に関わる6つの短編小説。

最終話では 前作のラストで示された「閉ざされた過去の扉」が開かれる。

穴の開いた密室
DIYを趣味とする男の死体が作業場の離れで発見された。製作途中のテーブル上で首を切られて死んでいた。

ドアには内側からカギがかけられ、唯一のカギは部屋の中にあった。また窓ははめ殺しで開くことはできない。
だがその部屋は「密室」ではなかった。
壁に1.7m×2m の大きな穴が開いていた。

時計にまつわるいくつかの嘘
女性が夜道で首を絞められ殺された。

彼女の恋人が容疑者として挙げられたが、犯行推定時刻に彼はライブ出演中で殺害は不可能だった。
被害者が着けていた腕時計が壊れ止まった時間が犯行時刻として特定された。その時計はリューズなど調整装置を持たず自動時刻修正を保証するというものだったため、腕時計が破壊された時間を偽ることはできないと考えたからだ。

倒理と氷雨は、残された腕時計と被害者の生前の写真から、真相に辿り着く。

穿地警部補、事件です
ジャーナリストの男性が自宅マンションから転落して死亡し、倒理と氷雨の友人である警部補 穿地が招集された。

死んだ男には警察上層部とのつながりもあったため、穿地には「単なる事故死として穏便に済ませたい」という意向が伝えられていたが、事件現場の状況から第三者の関与を確信した穿地は「事件」としての捜査を強行する。

消える少女追う少女
高校生の少女が消えた友人を探して欲しいと依頼してきた。

彼女は「線路越しに声をかけてきた友人が、地下通路を通ってこちらに来る間に神隠しのように消えた」のだと言う。

倒理と氷雨は、失踪した少女が通っていた高校、スイミングスクールや寮で聞き込み捜査を行ったが、「失踪するほど悩んでいたのか分からない。普通の女子高生だった」というコメントばかりだった。

最も間抜けな溺死体
高級会員制プールで実業家の死体が発見された。

管理人の話では、事件前日にプールの水が抜かれていたため入れ直しており、死亡推定時刻である0時前後には水位はごく低かったらしい。
被害者には打撲痕もあったことから「酔って水の入っていないプールに飛び込んで気絶し、そのまま水位が上がって溺死した」と判断されていた。

倒理と氷雨の元に、彼らの旧友であり「チープ・トリック」の名で犯罪プランを提供している糸切美影から被害者の著書が送られてきた。
美影が関与していることを知った二人は隠された真相を探りに行く。

ドアの鍵を開けるとき
5年前に起きた事件の「閉ざされたドア」を開く。

当時同じゼミに所属していた 倒理、氷雨、穿地と美影は、指導教授から卒業試験として「連続犬殺し」の真相を解くという課題を与えられた。

動物の連続殺傷は人間への殺人に繋がる傾向もあるため、警察もマークしていた。最初の2匹は野良犬だったが最後の1匹は飼い犬で、犬小屋にボーガンを打ち込んでから連れ出して殺傷するというように大胆さを増していた。

4人は真相に辿り着き、ゼミ修了祝いの鍋パーティーを開いたが、真相を飼い主に伝えるべきだと主張する倒理と、処置は警察に任せるべきだとする残りの3人で意見が分かれた。
その翌日、倒理の部屋で事件は起きた。

感想・考察

本作で特に好きなのは教授の「謎を解くということは、選択肢が増えるということだ。謎解きは答えを一つに絞る作業だが、重要なのは答えの出し方ではなく、出した答えをどう扱うか」という言葉だ。

倒理たちは5年前の真相に辿り着いたことで「主体的に人生を選択してく」ことが可能になった。


別にミステリの世界でなくても同じことだ。

誰かが自分に嘘をついているとする。
その嘘に気づかなければ自分が主体的に行動を選択することはできない。

でも、どういう嘘をついたのか(ハウダニット)、どうして嘘をついたのか(ワイダニット)に辿り着けば、その対応は自分で選ぶことができる。

思いやってくれる嘘であれば、スルーするのも良いだろう。
ミスを隠すなど恐怖心からの嘘であれば、スルーしてあげるのか、改善のため突っ込むのか、相手との関係や状況次第で選択できる。
欺いて搾取しようという嘘であれば、突っ込むか、別の嘘で対抗するか。

いずれにせよ、How と Why を知ることで、自分で行動を選ぶことができるようになり、そこは自分自身の信念や正義感が反映されるものになる。

「真実はいつもひとつ、でも正義は涙の数だけ」ということだ。

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