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トップの教養 ビジネスエリートが使いこなす「武器としての知力」

トップの教養 ビジネスエリートが使いこなす「武器としての知力」

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要約

トップに求められる教養は「決心」
著者は「今の日本はグダグダだという」認識を持っている。
圧倒的多数の人は、自分で判断することを避ける。リーダー層は自分で考え判断する責任を負う必要があるとする。

死生観と帝王学
まず最初に、「死ぬときに何をした人として名を残したいか」を考える。
そこから1年後には何をしているか、○○年後にはどうなっているかを考える。

昭和以降の教育は「優秀な参謀」を育てることに秀でていたが、トップとして自らの責任で決断する人間を育ててこなかった。

韓非子とマキャベリ
政治は権力者の定めた方に従って運営すべきとする「法家」を創始したのが韓非子。韓非子自身は老荘思想の流れの中にあり極論であることを理解していたが「生き残るためにはこれくらいやらなきゃだめだ」という考え方だった。

マキャベリは権謀術策を用いる現実主義者という位置づけだが、著者はその主張が常識的な内容だと考えている。
・結果が手段を正当化する。
・政治に道徳を持ち込まない。
・愛さかつ怖れられろ。
・獅子のちからと狐の知恵が必要。
・信義を守らせるのは力だけ。
・チャンスの女神は前髪をつかめ。
・祖国に尽くすのが最も価値ある行為。
・側近は3人まで。
・国民軍を作れ。
こういった主張が「まとも」だという。

古典政治学
西洋哲学・政治学の祖である プラトン・アリストテレスは、衆愚に陥るとして「民主制」を嫌い、優秀な人間の判断に従う政治を理想としていた。プラトンの師に当たるソクラテスが「民衆」に殺されたことへの反動だと言える。

歴史上、一人の人間が政治を行う「君主制」が一般的だった。

ヨーロッパはここ数百年は世界の中心であったといえるが、そこで起こった市民革命による民主制が、世界のスタンダードだとはいえないとしている。

織田信長
信長は自ら価値を生み出す天才で、日本人は彼から学ぶべきだとした。
ある程度の段階で、戦わずに安全に生きる選択肢があったにもかかわらず、理想のため戦い続けた姿が魅力的だという。

軍隊型組織
世界のエリートは軍隊型組織の運営が頭に入っている。
「平時から有事への切り替え判断」「情報の最終評価」「決心」「戦機を捉える」ことだけは、トップが行わねばならず、それ以外のことは委譲していくべきだという。

具体的行動を指示する「号令」、達成すべき事柄を示し達成方法はある程度受け手の判断余地を残す「命令」、大局的な目的を示し、具体的な方法は受け手に任せる「訓令」を、相手のレベルごとに使い分けてていくことが必要だとしている。

感想・考察

「誰かが決めた100点」に向かって勉強し100点を取れる人間は「優秀な中間管理職」だ。トップは「何が百点か」を決める責任を持つ。
「自分で考え決断し責任を取れ」という部分はその通りだと思う。
一方で個別具体的な提言には同意できない部分も多い。

例えば、日本以外の国を利害対立する「敵」完全に分断して考えるのは、今日では現実的ではないように思える。

政治的な交流は以前からあったが、経済での交流が急速に拡大し、企業から個人のレベルに至るまで広がっている。文化的にも、著名人の大著や映画などが入ってくるだけでなく、日常的に国境をまたいだ情報が流入している。
相互影響的な関係が出来上がっていて、近世・近代史の基準で国家レベルの力関係だけで語ることはできない。

関係を決めるのが究極的には「力」であるのは事実だろう。
個人にしても国レベルにしても、最後には「殺す気」で立ち向かう必要はあるが、それは最悪の選択肢だ。
いま世界の外交が上手くいっているとは思わない。だが外交の努力を軽視すべきではないだろう。

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