ラヴレター
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あらすじ
藤井樹が山の事故で亡くなって迎えた三回忌、樹の婚約者だった渡辺博子は彼の母親から中学時代の卒業アルバムを見せてもらった。
その頃住んでいた家は国道の敷地になり今はもうないということとだったが、博子はちょっとした悪戯心から、当時の住所に樹宛ての手紙を書いて送った。
たった一言「お元気ですか?私は元気です」と。
ところが、既に無いはずの住所から、既に死んでいるはずの樹から、博子宛に手紙の返信が届いた。
こちらも一言だけ「私も元気です。でもちょっと風邪気味です」と。
そこから博子と樹の、不可思議な文通が始まる。
感想・考察
先日読んだ岩井俊二氏の「ラストレター」の淡々とした感じが良かったので、ずっと遡ってこちらの作品も読んでみた。
「死者との手紙のやり取り」というモチーフは共通しているが、こちらは大分コメディー色が強いラブコメ寄りの話だった。
「私に一目惚れしたのは、私が初恋の相手に似ていたからなのか?」という疑問は自分本位で卑小だと感じる。それよりも「今自分を見てくれる相手を大事にしろ」とも思う。
だが一方、相手が死んでしまいその人の言葉を聞くことができないから、自分自身でケリをつけなければならない」というのも理解できなくはない。
理屈じゃなく感情を整理しないと人は前に進めないものなのだろう。