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三毛猫ホームズの駈落ち

三毛猫ホームズの駈落ち

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あらすじ

12年前、片岡義太郎と山波晴美は駆け落ちし、追っ手から逃れ川に身を投げた。

その後の消息は不明だったが、東京で二人の姿を見たという噂を聞いた両家は、東京に人を送り調査させていた。

本書の主人公である 片山義太郎と晴美の兄妹は、駆け落ちした二人と同じ名前で年頃も近かったことから、彼らと間違えられてしまう。

その頃、片岡家の公三郎と山波家の千造が、お互いの心臓をナイフで付き死ぬという事件が発生する。二人が亡くなったことで両家の確執は更に強まり、また義太郎と晴美の捜索にさらに本腰を入れた。

両家の父親も東京に乗り込んで義太郎と晴美を探していたが、そんな最中、片岡家の二男である秀二郎が、自宅で亡くなっているのが発見された。
心臓の弱かった秀二郎が、酔った状態でウォーターベッドの水を浴びたことで、心臓発作を起こしたらしく、事故なのか殺人なのかは判然としなかった。

12年前に駆け落ちした 片岡義太郎と 山波晴美は、地元の医師倉持に助けられ、東京で数年間暮らした後、結局お互い違う相手と結ばれる。片岡義太郎は令子と結婚し、山波晴美は三浦真と結婚し喫茶店を営んでいた。

片岡義太郎が倉持医師と連れ立って家を出た隙に、令子が子供と一緒に自宅でガス中毒となっていた。部屋に目張りがされ内側から鍵がかかっていたことから自殺と思われたが、一命をとりとめた令子は何者かに眠らされ気がついたらガスが充満していたという。

またその数日後、三浦晴美が倉持医師と名乗る男から電話で呼び出され外出している間に、彼女の夫である三浦真が奇妙な殺され方で死んでいた。

夫を亡くし、精神的に不安定になっていた三浦晴美は、片山晴美たちと一緒に生活していたが、エレベーター内で襲われ重体となってしまう。

関係者が次々と襲われる連続殺人事件。
誰が何の目的で行っているのか。

ネタバレ感想

軽いノリで読みやすい話だが、事件自体は関係者が多くて結構複雑。
ちょっと整理しておこう。

【主要登場人物】
片岡義一 :片山家の当主
片岡義太郎:片山家長男 12年前に駆け落ちして失踪
片岡秀二郎:片山家次男、自堕落な生活
片岡公三郎:片山家の三男
片岡令子 :義太郎と結婚
片岡正也 :義太郎と令子の長男
田所久子 :秀二郎の恋人

山波幸造 :山波家当主
山波(三浦)晴美: 山波家長女
山波公造 :山波家長男
三浦真  :山波晴美と結婚
三浦美沙子:晴美と真の長女

倉持   : 片岡、山波家に関わりのある医師

片山義太郎:警視庁一家の刑事
片山晴美 :義太郎の妹、カルチャーセンター勤務
石津   :目黒署の巡査


【事件の時系列】
① 12年前、片岡義太郎と山波晴美が駆け落ち
② 岡義太郎と山波晴美は何年か同棲した後、それぞれ別の相手と結婚。
③ 片岡、山波両家が、義太郎と晴美の捜索のため東京に人を送る。
④ 地元で片岡公三郎 と山波公造が差し違えて死ぬ。
⑤ 片岡秀二郎が自室で死ぬ。
⑥ 片岡令子が自殺に見せかけて殺されかけるが未遂に終わる。
⑦ 三浦真が自分の店で殺される。
⑧ 三浦晴美がエレベーター内で襲われ重体。
⑥ 片岡令子が自殺未遂。


被害者が多く複雑だが未遂を除外すると殺人犯は一人だけ。
Who Done It(誰がやったのか?)を問うミステリだが、How Done It(どうやったのか?)から考えても解決できない。
Why Done It(どうしてやったのか?)で動機から攻める方が良い。

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