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閻魔堂沙羅の推理奇譚 点と線の推理ゲーム

閻魔堂沙羅の推理奇譚 点と線の推理ゲーム

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あらすじ

閻魔大王の娘沙羅は、生き返りを望む死者に自分をを殺した犯人を当てる「推理ゲーム」でチャンスを与える『閻魔堂沙羅』シリーズ第4弾。
本作は 2話の推理ゲームと、沙羅の日常を描く番外編が1話で構成される。

  • 第1話 向井由芽 13歳 中学生 死因 撲殺

中学2年の向井由芽は、画家を目指す父との二人暮らし。

友人の七菜香が教師と生徒の母親との不倫現場の写真を撮影し、由芽や亜美に見せる。そのしばらく後、由芽の父親の絵が高値で売れたり亜美のテストが実際よりも良い点数をつけられたり、七菜香が学園祭の演劇で主役を勝ち取ったりと3人に不自然な幸運が訪れる。一方で由芽の靴箱に父親が万引きをしている写真が入れられるという事件も起きた。
由芽はイケメン男子からのラブレターで夜の神社に誘われ、そこで待ち受けていた何者かにナイフで「調子に乗るな」と脅される。脅した犯人は逃げ去ったが、怯えて家に帰ろうとする由芽を別の人間が石で撲殺する。

閻魔堂に辿り着いた由芽は沙羅との推理ゲームで生き返りに挑戦する。

  • 第2話 閻魔堂沙羅の日常

この話は推理ゲームではなく、沙羅の日常を描くキャラ紹介編。
閻魔大王であるアル中で虚弱体質の父、しっかり者の母、閻魔大王を跡取りながら頼りない兄が紹介される。

  • 第3話 久保達樹 47歳 元ヤクザ 死因 射殺

久保達樹は暴力団若月組を抜け、うどん屋を経営していた。

組を抜けて二年が経った頃、かつて部下だった宇田川がうどん屋に訪れる。
久保が抜けた後の組の窮状を訴え、戻ってくるよう懇願するが久保は断る。代わりに未だ持ち続けていた銃を宇田川に与えた。
その直後、若月組の組長が銃撃され死亡する。
対立する組の犯行と考えられたため、事態が収拾するまで店を閉め高校生の娘をホテルに避難させた。だが久保自身は店で待機しているところを何者かに射殺されてしまう。

娘を心配する久保は生き返りを願い、沙羅との生死をかけた推理ゲームに挑む。

感想

新刊が出たので再読してみたが、やっぱり上手いなぁと感じる。
特に第1話の推理問題が論理パズルとしてよくできている。提示された情報だけ推理できるフェアな展開だ。シチュエーションは特殊だが「被害者が自分で見たことだけで推理する」論理パズルとしては正統派。
最初はしつこく感じたマンネリ展開にも、段々と様式美を感じるようになってきた。

現在、シリーズ1作目2作目は Kindle Unlimited の読み放題対象なので、利用中の方にはお勧めです。本書を含む3作目以降は対象外。

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