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サイタ×サイタ EXPLOSIVE

サイタ×サイタ EXPLOSIVE

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あらすじ

Xシリーズ第5弾。

探偵事務所SYアート&リサーチの小川令子たちは、匿名の依頼者から「佐曾利隆夫 を調査して欲しい」という依頼を受ける。

小川は探偵事務所のバイト 真鍋瞬市、永田絵里子とともに佐曾利の張り込み調査をし、彼がかつて同居していた野田優花をストーキングしていることを知る。

小川たちが調査をしているときに、佐曾利の活動範囲で爆弾事件が発生した。
その頃、マスコミに「サイタ サイタ」というメッセージを送る「チューリップ」による連続爆弾事件が起きていた。この爆発も「チューリップ」によるものと目された。

警察の調査で、チューリップの爆弾に使われているバッテリとコネクタが、数年前の爆発事件で使われたものと同じであったことが判明する。
その時の被害にあった佐竹は、佐曾利の当時の会社同僚だった。不在中だったため人的被害はなく、家財が失われただけで、それも保険でカバーされていた。
同僚だった佐曾利も一時容疑者と目されたが、アリバイがあったため調査対象から外れていた。

後日、永田が佐曾利を尾行し野田のマンション近くに来たが、佐曾利を見失ってしまう。永田が彼を探して駅に戻ると、永田のすぐ脇で発火装置が炎上した。
永田が真鍋を呼び出し一緒に野田のマンションに向かうと、駐車場に女性の死体があるのを見つけた。
被害者は野田の友人で、数年前の爆発事故被害にあった佐竹の妻だった。

さらに翌日、野田の友人茶竹加奈子が絞殺され、事件は連続殺人に発展していく。

探偵事務所に匿名で佐曾利の調査を依頼してきたのは誰なのか。
チューリップ爆弾魔は誰なのか、連続殺人と同一人物なのか。
小川たちは謎に取り組んでいく。

感想

森博嗣ワールドの魅力は、やたら形而上学的な会話や、偏執的なくらいの理屈っぽさと、その中に時々放り込まれる情緒的な物語のコントラストかもしれない。

階段で6階まで上る途中 3階で「半分まで来た」という小川に対し、真鍋は「いえまだ5分の2です」と返す。
思えば私もこういうのよくやるなぁ。友達が少ない理由かも。。。

英語のカナ表記なんかも、基準統一しているのが気持ちいい。
「–er」とか「–ar」などアールで伸ばす音には、音引き「-」は使わず詰めて表記する。(コネクタ、コンピュータ、スカイ・クロラなど)
「–y」となる場合も音引き「-」は使わず、小さい「ィ」で表記する。(コピィ、ミステリィなど)
母音が重なる場合「⁻⁻ee」とか「⁻⁻ie」などは音引きを使う。(コーヒー、シリーズなど)
日本語可していて言葉で音引きを省くと意味不明になるものは一部例外(スターなど)

こういう偏執的なくらいの「理詰め感」が雰囲気を醸しだす。そこに突然に情緒的な恋物語をぶっ込んできたりするのが面白い。

真賀田と犀川の形而上学的な会話に挟まれる 西之園の「飛躍」だとか、緻密な近未来SF設定の中でウグイがみせる「微かな感情」だとかにゾクゾクする。

やっぱり面白いなぁ。

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