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タナトスの誘惑

『タナトスの誘惑』 YOASOBI「夜に駆ける」のベースストーリー

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あらすじ

YOASOBI『夜に駆ける』のベースとなった小説。
2000字程度のごく短い作品。

「君」の自殺を「僕」が止めたのが、二人の出会いだった。

儚げな「君」は一瞬で「僕」の心を奪った。
ブラック企業で疲れ切っていた「僕」にとって「君」は天使のように見えた。

それからも「君」は何度も自殺を試みる。
「君」は生への衝動(エロス)ではなく、死への衝動(タナトス)に突き動かされているようだった。

タナトスに支配された人には「死神」の姿が見えるという。
死神はその人にとって最も魅力的な姿で現れる。

「君」は自殺を試みるたびに「僕」を呼び出した。
そして「僕」が止めるのを待っていた。

「僕」は「君」に、必死に生きる希望を伝えた。
それでも、僕の言葉は「君」には届かなかった。
死神に見惚れているような「君」を見るのが辛かった。

「もう疲れた」といって投げやりになる「君」に「僕」も疲れてしまった。
「終わりにしよう」という「僕」の言葉に「君」は初めて笑顔で応えた。

そして二人は「夜に駆けた」

考察

ごく短い作品なので細かい背景は説明されていない。
その分解釈の余地が残されている。

一番素直な解釈は、「君」は元々人間ではなく「僕」の前に現れた「死神」だということだ。
ブラック企業で消耗しながらも、生きる気力を振り絞っていたけれど、実はすでに、死に魅入られていた。
「僕」が本当に望んでいる解決は「死」なのに、そこから目を背けようとしている自分への苛立ちが「死神」として現れたということだ。

もう一つの解釈は、「君」は実在の人間だったが既に死んでいて、「僕」も死に導こうとしているのでは、という見方だ。
この場合「君」の死に「僕」が関与しているようにも思える。「君」を生きていた人間だと考えると「僕」の執着の異常性も感じられる。
「僕」が死に追いやった「君」が、今度は「僕」を死に誘おうとしている。
こちらの解釈の方が甘美かもしれない。

最近「生よりも死に魅入られてしまう」感覚が理解できなくはない。
できなくはない自分が「やばいかも」と感じる。






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