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涼宮ハルヒの溜息

涼宮ハルヒの溜息

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ネタバレありの あらすじ

『涼宮ハルヒ』シリーズ第2弾。

SOS団の映画撮影
前作『涼宮ハルヒの憂鬱』から半年ほど後、文化祭の時期を迎え、涼宮ハルヒはSOS団として映画を作り発表することを決める。

映画タイトルは「朝日奈ミクルの冒険」
ハルヒが脚本から演出・総監督を務め、キョンは雑用係に指名された。
未来から来た戦うウェイトレス朝比奈みくるが主人公、超能力少年の古泉と一緒に、地球侵略を狙う悪の宇宙人 長門有希と闘う。
脚本はハルヒの頭の中だけで行き当たりばったりの撮影が行われた。

現実世界への浸食
撮影を続けるうち、ハルヒの願いが本人の気付かぬうちに現実になっていった。
「目からビームを出せ!」という無茶振りが現実化し、みくるは目からレーザーを射出してしまう。
「ここにいる土鳩が白ければよかったのに」というぼやきが現実化し、翌日にはすべて白いハトになってしまう。
「ほら、何か話しなさい」と命じられた猫は、人語を話すようになる。

古泉の懸念
虚構が現実化し、ハルヒがそれを『現実』だと認識すれば「猫がしゃべる世界」が現実になってしまう。
ハルヒが「ファンタジー的世界観」を取り入れれば、不思議な現象にも理由は不要で「それはそういうもの」として、世界を変えてしまう。

古泉は「ハルヒが作り替えた世界は虚構であること」を自覚させるため、映画のジャンルを定義することを提案した。
たとえば「ミステリー」とし「不思議な出来事にはトリックがあった」という解釈にすること。
もしくは強引に「夢オチ」を導入して、理屈に合わない展開を一気に常識的なモノにする結末とすべきだといった。

映画の完成
文化祭前日に撮影はギリギリ終わったが、断片的な映像を切り貼りして、映画の体にする仕事が残った。
動画の切り貼りからCG効果まで、一晩で仕上げるようキョンは強要される。
徹夜でも間に合わず諦めて眠ってしまったが、目覚めるとなぜか編集が完成していた。

「映画内容はすべてデタラメである」ことを強烈に意識させるため、キョンはハルヒに最後のナレーションを語らせる。
「この物語はフィクションであり実在する人物、団体、事件、その他の固有名詞や現象などは何も関係ありません。嘘っぱちです」

感想

前作『涼宮ハルヒの憂鬱』ほどのダイナミックな展開はなく、キャラクタものの学園青春物語的な話だった。
シリーズ2作目にして、主人公たちのキャラクタが固まってきた感じ。

気になるのは残されたいくつかの伏線だ。
・準備期間は出没し、当日いなくなっていた「奇妙な連中」は何者?
・長門が不必要に「魔女のコスプレ」を続けたのは、気に入っていただけ?
・キョンが寝ている間に、動画編集を仕上げたのは誰?
・古泉の「夢オチ」発言は、シリーズ全体へのけん制?

色々考えてみたいが、本作まででは材料が足りない。
もう少し読み進めてみよう。

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