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久遠の檻―天久鷹央の事件カルテ―

久遠の檻―天久鷹央の事件カルテ―

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「人間はなにかのために生まれてくるわけではない。生まれ、育つ過程で、自分が何者であるかを知り、そして自らの生きる意味を探していくんだ」

天久鷹央シリーズ最新刊。
ラノベっぽいノリのシリーズなんだけど、すべての話で医学知識がガッツリ謎に組み込まれ、しっかりとした「医療ミステリ」になっている。さすが本職のお医者さんの作品。

そして何よりも、鷹央たち医師の「人の命と真剣に向かい合う姿」が本当にかっこいい。
著者である知念実希人さんの、真摯な生き方が伝わってくる。

夏川草介さんの『神様のカルテ』シリーズなんかも同じ理由で読んでいて気持ちがいい。

小説とか医療ドラマなどでも「医師の真摯さ」を発信する作品をよく目にする。こういうことが、日本人の「医療に対する信頼感」を醸成する理由になっているのかな、とも思う。

私自身、中国やヨーロッパなど外国での生活が長かったんだけど、各地で「医師と患者の対決姿勢」を感じた。比べると日本人は、深い部分で医療への信頼があるように感じている。

今回のワクチンをめぐっても、キャズムの深さはありつつも、周囲の人たちの受け止め方から医療への信頼を感じた。

質の高い医療ミステリは、日本の医療に良い影響を与えているんだと思います。

あらすじ

天久鷹央の勤務する天医会病院に、現実離れしたほどの美少女 楯石希津奈がパニック症状を起こし入院してきた。

どうみても10代半ばにしか見えない美しさの希津奈だが、記録上の年齢は32歳なのだという。16年前に希津奈を診療した医師も、間違いなく本人であると認めた。

鷹央たちが「歳を取らない理由」を調査しようとしていることに反発した希津奈の父は、彼女を強制的に退院させる。その後検査結果から希津奈が脳炎を患っていることがわかり、鷹央たちは希津奈を探した。

希津奈の父は、彼女が「歳を取らない方法」を広めるオンラインサロンを運営していた。16年前にアイドルとして活動していた希津奈の動画が拡散されたこともあって、急速に会員を増やしていた。

その頃、希津奈がアイドルとして活動していた頃に埋められた「タイムカプセル」が掘りだされ、ミイラ化した他殺死体が発見されたため、警察も現在の希津奈を追い始める。

希津奈は本当に不老不死なのか。
16年前の事件では、なにが起こっていたのか。

鷹央たちは事件の謎に取り組む。

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